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地域の足を守り、バス労働者の過労運転絶滅!非正規バス労働者の差別を許すな!自治労連公営企業評議会 省庁要請行動(公営バス部門)

image003 自治労連公営企業評議会による省庁要請行動が、1月15日参議院議員会館で行われました。公営交通労組の仲間を加えた省庁要請行動は今回で2回目、昨年の国交省に続き、今年は厚労省も要請先に加え、参加者は公営交通バス部門の問題点を訴えました。 

 今回の要請のポイントは、次々と地域の路線バスが縮小・廃止されるなかで、住民の足を守り、そこで働く労働者の労働条件を向上させるために補助金の拡充が必要であること。「トイレにも行けない、寝る時間もない」とバス労働者に言わせる強引なバスダイヤの根拠となっている厚労省の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以下「改善基準」)の改正等を求めること。8割以上が非正規、賃金は半分以下のバス運転手で支えられている八戸市営交通のように、地方のバス事業主に対して労働者の差別を是正させるよう国に指導を求めることです。 

「住民のためにつくし、同じハンドルを握る仲間に差別があってはならない」 

国土交通省要請行動

  国土交通省からは総合政策局交通支援課企画調整官をはじめ3名の担当官が対応しました。

 私たちは、バス事業への規制緩和により採算性の良い路線に民間が参入し、公営交通は採算の合わない路線のみを押し付けられることによって更に経営が悪化していることや、八戸市営交通のように職員の8割以上が非正規に置き換えられ、正規の半分以下の賃金で働かされる中で地方の公共交通を支えている、過疎地を含めた地方の生活を守るためにも、補助金の拡充により、バス事業体の存続やそれを支えるバス労働者の労働条件改善を訴えました。

 国交省からは、省庁にまたがった様々な補助金や予算の確保に務め、不足しているバス運転手確保のため女性や若者を対象にバス運転手の職業への理解を広めるため努力していることなどが回答として出されました。 

 北九州市バス労組からは、国が雇用を安定させるための補助金を出しても職員は定着しない。北九州市交通局では、在籍する嘱託乗務員が約130名にもかかわらず、過去10年間でそれを上回る157名もの退職者が出ている。また、国交省が「バスの運転者の確保及び育成に向けた検討会」などを開催し、大型2種免許取得率の高い高齢者の活用などを打ち出しても、現場では60歳以上の大幅賃下げなど実施され、更に退職者が増えているのが現状だ。

 国が指導して地域路線の再編を促進しても乗り継ぎが増え運賃が値上げされる。補助金がその趣旨に沿って有効に活用されているかどうかを検証をする必要があるのではないかとの指摘に対して、担当者は「(補助金交付の)基本は住民の足の確保である」と言いながら、「(補助金により非正規の)賃金をあげるか否かは住民の合意が必要」「バス事業者を維持させるために出しているわけではない」などと発言がありました。

 非正規の賃金を低く抑え、採用されてもすぐに退職するようなブラック事業体を野放しにし、過酷な労働条件の中で過労運転を生み出していることも是認するかのような対応に参加者からは、交通政策基本法 基本計画の精神においては「(過疎地においても)交通手段の確保その他必要な施策を講ずるもの」「特に地方において安定した雇用を創出する」とされており、この趣旨に則り労働条件向上を後回しにせず施策を進めるべきとの批判の声が起こりました。

 私たちは、最後に「住民のためにつくし、同じハンドルを握り働く仲間に差別があってはならない、地方の足を守り、安定した雇用を創出するためにも事業を管轄する国交省として労働環境改善を進めるべき」と要請を締めくくりました。

 「改善基準」は過労運転の温床

厚労省要請行動

  厚労省からは、労働条件政策労働条件確保改善対策室室長補佐をはじめ担当官4名が対応しました。

「改善基準」は路線バス、観光バス、高速バスなど様々なバス運転の業務形態を一括で扱っており、「拘束時間終了から次の拘束時間までの休息期間を8時間以上」「1日の拘束時間15時間を超える回数は1週間につき2回が限度」などという考え方は長距離バスを想定しており、路線バスに適用するのは間違いではないか?との私たちの質問に、路線バスにも適用できる合理性を示せず、あくまでも「最低限の守るべき」ものであり、事業管理者の判断、労使の協議を経て適切な運用を決めるべきものと回答しました。

 冷酷な事業管理者の「性善論」に勤務ローテーションは委ねられない

 横浜交通従組からは、厚労省は勤務ローテーションの問題は労使の協議で解決するものとの見解だが、横浜市交通当局は「管理運営事項」として労使交渉においても組合側の意見も受け付けない。厚労省が「最低限」の基準と言っても、その基準を「最大限」に利用して労働密度を上げている。このような事業主に「性善論」で労務管理を委ねる時代でないと意見が出されました。

また、折り返し場所における、短時間の休憩と乗客の乗車時間を連続運転の「解消」として当てはめることにより、4時間も連続でトイレにも行けない運転ダイヤが強いられている。労基も「改善基準」の枠内ということで手が出せないとのことだが、厚労省が「これは路線バスには適用できない」との解釈を通知すれば、現場の実情は大幅に改善されると訴えました。

  私たちは労基が「基準」の範囲内であるというのなら何も摘発しろとはいわないが、「基準」通りにローテーションを組んだら過酷な労働実態になり、過労運転の温床となっていることを調査し改善のための報告をまとめるべきではないのかと正しました。

 厚労省側として今日は当該の担当者が来ていないが、その旨を伝えるとの回答がありました。 また、厚労省はこの「改善基準」を作成した根拠がILOの勧告に基づいていると説明したが、同じILO勧告では休息期間を11時間以上としているのになぜ日本では8時間なのかとの質問に、勧告の中の例外規定を適用していることを認め、参加者から「(労働法制の不備な)発展途上国並みではないか」との声が上がりました。

 非正規職員の差別は許さない!

 八戸市営交通労組の仲間からは、バス運転手の8割が非正規であり八戸市当局も非正規の職員がいなければ業務が成り立たないことを認めている。しかし、その賃金は正規労働者の半分以下、休暇制度なども劣り、そして3ヶ月、9ヶ月の期間雇用の繰り返しで、些細な苦情などによる雇用不安など、とても安定した生活を営める状況にない、これは差別だとは思わないのかと訴えました。

 これに対して労働契約法やパート労働法に謳われた「均等待遇」や「無期転換」の趣旨は地方公務員法による身分の違いがあっても生かされるべきであり、総務省に対して働きかけを行いたいとの回答がありました。

また、非正規の差別的扱いか否かは司法判断となるといわれるが、すでに「非正規の賃金が業務内容の同じ正社員の8割以下であるときは、使用者に許された裁量を逸脱したものとして違法」との判例が出ており、そのつど司法にその判断を持ち込まなくても、厚労省が事業主に通知を出して徹底してほしいと訴えました。

 厚労省は各地で「無期転換」を始めとした労働契約法など事業主に対する周知徹底に今後も努めていくと回答しました。

 規制緩和による犠牲はいつまで続く

 今回の国土交通省の要請行動には、当初予定されていた旅客安全の担当官は、この日の早朝発生した軽井沢のスキーバス転落事故の対応のため欠席となりました。昨年の要請行動の際、過密な勤務ローテーションのためバス運転手の疾病率が2割を超える横浜市交通局に対して「実態調査に入れ」との要求に対しても、かなりタイトな状況であることを認めながらも、「まだもっと悪質で監査に入らなければならないバス事業者がたくさんいる」と国交省自らの職員不足で十分な対応ができず苦渋の表情を見せた担当官」の姿は忘れることはできません。

 今回のバス事故も「改善基準」の問題点が指摘される中で、国交省の回答は「(安全基準は)自動車運送事業者の実情を踏まえたもの」などとしています。企業の利益のために乗客の安全も労働者の働きがいも失わせる規制緩和にピリオドを打ち、監督官庁の職員の増員を勝ち取りましょう。

 要請行動には、日本共産党 田村貴昭衆議院議員を始め吉良よし子、梅村さえこ議員秘書のみなさんに同席していただきました。

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