東日本大震災・福島第一原発事故から5年 自治労連学習交流会を開催
現状を見つめ、住民本位の復興をめざす
5月14日、自治労連第53回中央委員会終了後、福島県白河市のホテルサンルート白河で、「東日本大震災・福島原発事故問題の現状を見つめ、住民本位の復旧復興をめざす自治労連学習交流会」が行なわれ、125人が参加しました。はじめに主催者を代表して猿橋委員長よりあいさつがあり、「福島原発の事故は安全神話の中で起こった災害である。今後、南海トラフ地震や首都直下型の地震が起こると言われている。原発の再稼働阻止、原発廃炉を実現し、安全安心のまちづくり、公務公共の拡充をすすめよう」と述べました。
続いて「ふくしま復興共同センター」の代表委員でもある福島県労連の斎藤富春議長が、「新たな局面をむかえた『原発再稼働・福島県民切り捨て』」と題して講演しました。斎藤議長は「福島原発の事故は、津波が原因だったのか地震が原因だったのか未だにわからない。『安倍政権の原発推進の暴走と福島県民切り捨ては一体のもの』としてたたかいを進めてきた。この認識をさらに広げてたたかっていきたい。原発ゼロと戦争法廃止の運動は、国民の生命と安全、そして『個人の尊厳』を守る重要な運動になっていることから、引き続き奮闘していく」と決意を込めた講演を行いました。講演を受けて、被災地からの報告を福島県本部の笠原委員長、岩手自治労連の渡辺書記長が報告しました。笠原委員長は、①原発事故からの復旧で予算規模が最大となり、仕事量が増大していること、②仕事が増えても職員は増やせないこと、③福島に職員を派遣している自治体からは「5年が経過したので、もう終わり」との認識があること、④職員のメンタルヘルスや無理を重ねての体調不調が増加していることなど多くの課題があることが報告されました。渡辺書記長は、被災者が老朽化した仮設住宅での生活を強いられている実態にふれ、「住民本位の復興」にむけての課題について報告しました。最後に、自治労連本部の福島副委員長からまとめと閉会あいさつがあり学習交流会を終えました。
福島第一原発事故の現状を学ぶ自治労連視察行動
5月15日、福島第一原発事故から5年を迎えた被災地の現状を学ぶ自治労連視察行動が行なわれました。視察行動には、「浜通り復興共同センター」の菅家新さんほか現地の方に同行いただき、現地の状況について説明しました。楢葉町では、東京電力福島第一原発の事故対応拠点として、東電福島復興本社が置かれているサッカー練習施設「Jヴィレッジ」(楢葉町、広野町)、天神岬スポーツ公園を訪問。また、原発被害者の救済を求めて訴訟に立ち上がった宝鏡寺住職の早川篤雄さんからお話しを聞きました。早川さんは「原発事故は起こるべくして起こった。それが福島だった。今のままでは、このような事故は全国のどこでも起こり得る。悲惨な原発事故を二度と起こさないよう、すべての原発は廃炉にしなければいけない」と訴えました。
富岡町では、町内を歩いて視察。「事故以来、道幅がわずか4メートルの道路1本を分けた『帰還困難地域』と『居住制限・避難指示解除準備区域』の間で補償金額に大きな格差がある。これまで近所づきあいをしていた住民の中で、賠償の格差が原因で不幸なケンカが始まっている」と、国や東電の不当な「線引き」によって住民の間に分断が持ち込まれている実態を説明しました。その後、浪江町に向かい、人が戻っておらず5年前の震災の跡がそのまま残る浪江駅周辺を視察しました。
参加者からは、「大変貴重な話が聞けて勉強になった。まだまだ原発事故は収束していないことを実感した。原発ゼロに向けた運動を強めていきたい」、「5年が経過して福島のことが風化してしまうか心配だ。職場に戻ったら見てきて学んだことを周りに伝えていきたい」など多くの感想が寄せられました。