「改憲・道州制を許すな!国と自治体に憲法をいかそう5・25院内集会」
5月25日、全労連公務部会と労働組合、民主団体などで構成する「道州制・地方分権改革を考える懇談会」は、「改憲・道州制を許すな!国と自治体に憲法をいかそう5・25院内集会」を衆議院第一議員会館で開催し、労組や団体などから50人が参加しました。
はじめに主催者を代表して「道州制・地方分権改革を考える懇談会」の永山利和座長(元日本大学教授)が「道州制と改憲はセットで進められている。国は社会保障や教育などに対する責任を放棄して、地方自治体に一方的に押し付けようとしている。日本が戦争へ向かう国家になるのか、憲法をいかし国民一人ひとりを大切する国になるのかが、いま問われている」と、あいさつしました。続いて日本共産党の宮本たけし衆議院議員が、「野党共闘が進み、1人区の32選挙区すべてで統一候補が出る予定だ。ここまでの前進を勝ち取れたのは、国民の運動と北海道5区補選のたたかいで切り拓いてきた結果だ。今度の選挙は、野党共闘が安倍首相を追い込み、自公政権を引きずり降ろしていくたたかいにしていこう」と国会報告と決意を述べました。そのほか、吉良よし子参議院議員も会場にかけつけました。
その後、専修大学の晴山一穂教授が「日本の国家再編と道州制・地方分権改革」と題して講演しました。晴山氏は「1980年代から歴代の政権が、新自由主義政策と対米従属下での軍事大国化という2つの方向へ国のあり方を大きく転換してきた。地方分権改革では『国と地方の役割分担』をキーワードに、国の役割を外交、防衛、通貨、司法等に限定して、軍事大国化、統制・抑圧機能を強化し、その一方で、福祉や教育など国民に必要不可欠な行政を切り捨ててきた。道州制は、この「国と地方の役割分担」の考えを前提にして、国の役割を補完するために導入がねらわれている」と述べました。
続いて公務部会の川村好伸事務局長が集会への報告・提案を行い、「参議院選勝利に向けて、職場での対話など全国での取り組みをすすめ、6月5日に行なわれる戦争法廃止の総がかり大行動を成功させ、運動の勢いを上げよう」と述べました。
討論・交流では、自治労連から中川書記長が発言。「憲法をいかし住民生活を守るという自治労連の特別の任務を実践するために、『こんな地域と日本をつくりたい』という提言案も発表して、これまで900を超える自治体と憲法キャラバンを実施してきた。今年は多くの労働組合が結成70年の節目を迎える。戦後、自治体労働組合は、戦争による飢餓や貧困から労働者の生活を守るために結成され、国の軍備増強に対して『自治体労働者は、二度と赤紙を配らない』という決意で平和をまもるたたかいに立ち上がってきた。戦争法を廃止し、道州制を許さず、立憲主義を取り戻すために、共同を広げてたたかっていきたい」と決意を表明しました。
各団体からは、「地方版ハローワークは、職業紹介業務を人材ビジネス会社に丸投げするもの。国の労働行政への責任放棄は許さない」(全労働・河村副委員長)、「政府機関の地方移転は、国民の生活に身近な省庁ばかりが対象になっており、道州制の導入を先取りするものだ。おおさか維新の会は、道州制の導入を前面に掲げた憲法改正原案を発表した。憲法裁判所を設けると言うが、悪法について裁判所が合憲のお墨付きを与える場になる危険があり、警戒が必要」(自由法曹団・舩尾遼弁護士)、「小さな自治体ほど、子どもたちのために独自の奨学金や給食費の無償化を行っているが、本来は国の責任でやるべきこと。学ぶ権利を守る国、自治体をつくるためにたたかう」(全教・中村副委員長)、「いま熊本地震で、国土交通省の地方整備局が全国から職員を派遣して復旧復興の業務を行っている。国民の安全を守る国の役割をさらに発揮させたい」(国土交通労組・澤田一洋副委員長)と発言がありました。
閉会あいさつで公務部会の蟹澤昭三代表委員は、「いま、職場、地域からの運動を基礎に、日本の流れを大きく転換する局面にきている。安倍政権による憲法改悪や道州制を許さず、国民のくらしを守り、憲法をいかす政治へ転換していこう」と訴え、院内集会は閉会しました。