今だから伝えたい「あの日ヒロシマで起きたこと」 第31回自治体にはたらく青年のつどいin広島
6月4日(土)~5日(日)の2日間、「第31回自治体にはたらく青年のつどいin広島」を、広島市内で開催。約200名が参加しました。
主催者あいさつで、自治労連青年部長は、5月27日、アメリカのオバマ大統領が広島の平和記念公園に訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花したことに触れ、「原爆を使用したことへの謝罪こそありませんでしたが、現職のアメリカ大統領から『核兵器のない世界』を作っていく責任があると述べられたことは大きなことだと思います。その一方で、沖縄では、女性が米軍の元兵士に殺害された事件がありました。本当に悔しいし、腹立たしいし、心が痛みます」と語りました。全国各地で、青年たちが、青年らしい方法で声を上げ、力を合わせて戦争法に反対していること、政府に対し、住民と自治体の力で沖縄の辺野古基地移設問題に一定の歯止めをかけていることを挙げ、「わたしたちがつながることで、世の中を動かせる、変えられる、この2日間、全国の仲間と、広島の仲間と、たくさん交流しましょう。つながりをつくりましょう」と呼びかけました。
広島自治労連、大畠執行委員長は開催地歓迎のあいさつの中で、自身も被爆2世であること、原爆で亡くなったご親族の遺骨は未だわかっていないことなどを語り、原爆投下がもたらした影響は未だ続いていることを訴えました。オバマ大統領の平和記念公園来訪は、原爆投下から71年の間の地道な平和運動が歴史的な一歩を踏み出したと語りました。
続いて、自治労連青年部常任委員より、基調報告をしました。今の情勢は、集団的自衛権の行使容認、戦争法を成立させ、明文改憲にも踏み出し、「戦争できる国づくり」に向かっている。戦争体験者から「戦前の日本に戻っているようだ」という声が聴かれる今だからこそ、「あの日ヒロシマで起こったこと」を伝えたいと、71年前、原爆が投下された広島の地で、青年のつどいを開催する意義を強調しました。戦争経験者から直接経験を聞ける最後の世代と呼ばれる私たち青年が、改めて戦争の悲惨さ、平和の大切さを学び、平和について青年が自治体・公務関係労働者として、労働組合として、どう運動を進めていけば良いか話し合う場にしようと訴えました。
被爆者からのお話 「100人いたら100通りの被爆がある」
「70年を経て、今、思うこと」と題し、元広島市職労副執行委員長の免田裕子(めんだ ひろこ)さんより、お話をいただきました。彼女は5歳の頃に広島で被爆しています。2010年のNPT会議でアメリカを訪れた際にスミソニアン航空博物館を訪れ、71年前に自分に原爆を投下したエノラ・ゲイに再会し、(当時はわからなかったが)広島が実験台にされていたことの恐怖や悔しさが込み上げ、涙されたこと、被爆した母親が息を引き取る際、我が子(免田さん)が呼んでいる声に応えてやれない、死にきれないという、無念さを想い、「人間らしい死に方ではなかった」と語りました。戦争が終わってもなお、結婚・出産をする際には、被爆していることで心無い差別や中傷に悩まれていたこと、そのこともあり、我が子が受ける影響を思い、被爆者手帳を取得することにためらいがあったこと、それでもなお、告発するために覚悟をもって被爆者手帳を取 得したことなどが語られました。「100人いたら100通りの被爆がある」との言葉は胸を打ちました。また、給食調理員になられ組合活動に参加することで、生きていくことの希望を見つけられたと話され、組合活動の必要性も改めて実感する機会となりました。
被団協の方を囲んでのグループワーク
15の班に別れ、被団協の方たち(被爆者、伝承者)に語り部として入っていただき、当時の話を聞き、質問、意見交換をしました。参加者の感想では、被爆者手帳をもらえる範囲が意外と狭いことや、内部被爆に関して政府が認めておらず、研究自体やめているという事実に驚いたこと。あるグループでは、被爆者の方より被爆により爛れてしまっている肌を見せていただき、胸が詰まったこと。平和学習は学校教育のところから力を入れ学んでいってほしいとの訴えが心にしみたことなど、青年にとって、直接、「あの日のヒロシマで起きたこと」を聞く、貴重な機会となりました。
広島自治労連青年部が大活躍!交流を深めた夕食交流会
つどい1日目終了後は、広島文化交流会館にて夕食交流会を行いました。グループワークでいっしょになった班ごとに分かれ、さらに交流を深めました。広島自治労連青年部の皆さんが全体の進行や、ご当地クイズなどの企画に尽力していただきました。テーブルでクイズに答え、正解率が一番高かったところには広島の地酒を賞品に用意してくれるなど、交流会は大いに盛り上がりました。
広島自治労連は、青年たちのために、二日間に渡り(二日目は雨の中)、20人を超える先輩の皆さんが、道案内に立ってくれました。
平和や戦争について、とことん語り合った分散会
2日目は、昨日の被爆者の方たちからの話を踏まえ、平和や戦争について、青年同士で語りあう分散会を開催しました。「もし、今、戦争が始まったら私たちの生活や仕事はどうなるのか」というテーマでは、ほとんどの方が今まで、戦争のことを現実のものとして、突き詰めて考えてこない中で、想像することさえ難しい状態でした。語り合う中で、史実を知らないことの恐ろしさ、戦争を学ぶことの必要性を共感しました。そして、「私たち青年が、公務労働者が平和のために出来ることは何か」など、もう一歩踏み込んで話し合いました。
感動のフィナーレ 全国をつなぐ「平和メッセージ」「折鶴」
全国の青年が「平和メッセージ」に取り組む姿が上映され、ゆずの歌にのせ、いくつかメッセージが紹介され、全国がしっかりつながったことを共感できるひとときとなりました。集約した600枚に及ぶ平和メッセージは会場壁に飾りました。その後、つどいに参加した青年に折ってもらった鶴を千羽鶴にまとめ、平和への願いとともに開催地広島の青年へ受け渡しました。青年部長より、「平和アピール」が宣言され、満場の拍手で採択されました。こうして、第31回自治体ではたらく青年のつどいは閉会しました。戦争と平和を通じて、自治体労働者としての役割、労働組合の役割を感じ、多くのことを学び、明日につながる一歩になりました。閉会後、広島自治労連の青年と常任委員で平和記念公園を訪問し、千羽鶴を捧げました。