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第34回全国公企研究交流集会開催 持続可能な地域づくりのための議論と交流を行う

 第34回全国公企研究交流集会が9月30日~10月1日とさいたま市内で開催されました。集会は51人が参加し、上下水道問題をはじめ公営電力、公営交通の仲間がそれぞれの職場の状況を出し合う中、運動の到達点と「水とエネルギーは生存権を守る闘い」をスローガンに、持続可能な地域づくりのための議論と交流を行いました。

 地方水道の切り捨てを許さず

 多くの水道施設が老朽化し、現場の技術者が削減されていく中で、その打開策として広域化や民営化が国によって推し進められています。また、過疎化が進み限界集落における水道が「非効率」の中で切り捨てられようとしています。新水道ビジョンの中でも触れられた「生活用水の宅配」のようなやり方で%e5%85%ac%e4%bc%81%e9%9b%86%e4%bc%9a3しか地方集落の水道の生き残る道はないのか?私たち公営企業に働く仲間にとって、とりわけ地方の上下水道、公共交通などライフラインを守ることは、大きな課題となっています。今回の公企集会には、「地域の『小さい水道』を支援」を活動主旨に、小規模水道の実践を支援しているNPO法人地域水道支援センター理事長の保屋野初子氏を迎え記念講演を行いました。 

地域の実態に応じた適正な規模・適正な技術の水道を! 

 講演で「『適正な規模・適正な技術を地域に』という提案の裏側には、適正ではないものもあるはず、『身の丈(みのたけ)水道』づくりのお手伝いをしている」と切り出した保屋野さんの話には、大規模水道で働く仲間たちから「苦笑」がもれました。というのも、公営企業評議会では、過大な水需要に基づくダム開発や広域化などを批判してきたからです。しかし、自らの職場である水道事業体がその推進母体となっている実態もあり、まさに的を射た指摘といえます。 

主役はあくまでも水を必要としている住民

水道普及率97.8%の日本、国民皆水道とも言ってよい状況の中で水アクセスが困難な人々がいる現実が話され、「『おいしく安全で安い水』はどんな過疎地でも高齢者であっても確保されなくてはならない」との話は、水道の本来の姿だけでなく、「発展途上国化」する地方の水道実態を考える上でも大切な問題提起といえます。今の水道技術者から見れば「ローテク」とも称される粗ろ過・緩速ろ過の技術を使い、地域住民が自ら管理する小規模水道の実践例を示しながら、人口増、需要増を前提とした拡張路線の水道政策がもたらした矛盾が、今の水道財政を始めとした諸問題ではないかと提起され、「中央制御から分散と自立へ」の課題解決の方向性が示されました。「主役はあくまでも水を必要としている住民であって施設や技術ではない」との実践経験からの提案は、「広域化」や「水の宅配」といった国からの政策の押し付けに対して今後の私たちのたたかいのヒントとなるものでした。

水道法が水道事業法へ

 %e5%85%ac%e4%bc%81%e9%9b%86%e4%bc%9a2公営企業評議会の近藤事務局長は基調報告の中で、「水道法が水道事業法に変えられようとしている。そのねらいは民営化も広域化も今の水道法が邪魔という論理である」と問題を提起。しかし、「水道の『福祉性』は守らなければならない大切なポイント、私たちの省庁交渉の中で、総務省も『効率化が優先し公営企業の“公共の福祉”がないがしろにされては本末転倒』と言っている。福祉水道とは何かを改めて考えなくてはならない」「いま進められている広域化も、県が主導する傾向となっている。しかし、その内容は自己水源放棄とダム水による料金値上げ、広域化の計画は水道現場に技術者が少ないことからコンサルに丸投げで、議員にすら情報が後追いする。住民への開示もないなかで進められていく」「現場では経験ある職員が減少し、特に地方ではそれが加速化し技術の空洞化が起きている。広域化で単純に解決できる問題ではなく、「拠点都市」の構想も国が本腰を入れなければ実効性がないとの声も首長から出ている。私たちは、広域化は地産地消のまちづくりには反するとの立場から、再生可能エネルギーを活用したゼロエミッション型の小規模水道などを問題提起している」と述べました。

大規模水道事業体の役割とは

 「最近は、大規模水道事業体が株式会社を作り、地方水道の包括委託の推進役をしている。しかし、大規模事業体の役割は公公連携、公民連携(民には民間だけではなく市民を含む)を推進することが役割。それでなくては次世代の水道の展望は拓けな」「『水道法』が『水道事業法』になってしまったら住民や議会が運営に参加することはできない。電気事業法のよう株主や投資家の物となってしまう。私たちは正しい水道政策とは何かをこれからも提起をしていく」と結びました。

 この後、特別報告の中で、各地(神奈川、大阪、宮崎、長崎)の取り組み状況が報告され、二日目は営業部門、道路部門、プラント部門に分かれて分科会が持たれました。

 

 

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