自治労連公企評 省庁要請行動(公営バス部門)行われる
労働者の団結で公共交通の安全・安心を
労働強化・非正規差別・地方交通切り捨てとたたかおう
1月13日、衆議院第二議員会館で自治労連公営企業評議会の省庁要請行動が行われました。
昨年の要請行動が行われたのは1月15日、その日の早朝に軽井沢スキーバス転落事故が発生し学生ら15人の尊い命が奪われました。事故は運転手のミスだけではなく、「規制緩和」、ドライバー不足、不十分な健康管理、現場の労働環境を悪化させている厚労省の「改善基準告示」(以下「告示」)、どれも私たちが要請項目として以前から改善を要求しているものが背後にありました。
この事故を受けて「監査機能の強化」などを盛り込んだ道路運送法が昨年改正をされるなど、一定の前進はあったものの、現場の労働環境と乗客の安全を守るには程遠く、貸切バス・長距離バスだけでなく路線バスも同様に事故と隣合わせの現実があることを、全国から集った公営交通の仲間たちが要請行動のなかで訴えました。
「定時運行が確保できないような運行指示書は問題が多い」と回答
最初に、横浜市交通局従業員労働組合から「告示」に示された連続運転4時間につき30分の休憩等を確保しなければならない問題について国交省をただしました。
横浜市交通局における運行指示書(スターフ)の実物を示し、実際の運行実態を説明しました。出庫から入庫まで4時間ぴったりに作ってある運行指示書通りに走ると、その間に10分以上の休憩等は1回も取ることはできません。1分でも遅延が発生すれば「告示」違反。しかし、当局は「運転手の判断で途中の回送運転をせず、充分な駐車スペースを確保できていない横浜西口駅バスターミナルにて休憩等をすれば問題ない」と言っています。
「バスの車両管理からも解放されない、空いている駐車スペースを探してハンドルを握り続ける状態で『連続運転解消の休憩等』と言えるか」と国交省を追及しました。
国交省は「検討をしたい」と明確な回答を避けたものの、路線運行指示書と遅延が常時生じている運行記録を照らし合わせ「定時運行が確保できないようであれば、その路線運行指示書は問題が多い」と回答をしました。
「有識者会議」を劣悪な労働条件押し付けの根拠に使うな
厚労省には「告示」に示された16時間拘束後、休息期間8時間確保すればよいとしている根拠をただしましたが、「『告示』については有識者会議の報告を基に関係労使の方々の合意、あるいは協議を経て平成元年に制定されている」という回答を繰り返すのみ、「私たち自治労連はこのような『有識者会議』に組していないし、参加している連合傘下のバス労組であってもこの『告示』によって人間的な生活が奪われているとストライキに立ち上がっている」「労働者から『ノー』を突きつけられる実態を厚労省はどう捉えているのか?」とその認識を改めるよう追及、「要請に対する回答でこのような『枕詞』を繰り返すことは許さないし、『告示』の見直しに向けた検討を直ちに始めるべきだ」と申し入れました。
非正規労働者の差別によって支えられる地方公共交通
非正規化が進む八戸市営バス労働組合からは、国会の総務委員会でバス嘱託職員等の劣悪な雇用実態改善質問に対して安倍首相自身が「職務に応じた処遇の確保を図ることが重要」との答弁したことを基に、八戸市交通当局との交渉も行なったが「安定経営を目指すため改善はできない」と、運転手の人員の84%を年収が正規の半分にも満たない嘱託・臨時に依拠していながら、その処遇の改善は全くすすんでいない実態を国交省に示しました。
「あなた方の先ほどの(補助金を確保している等の)回答は、なんら地方の過疎地の住民の足の確保や処遇改善には結びつかず、それを支える運転手の使い捨てはかえって助長されている」と追及しました。
「独立採算」を前提とせず、諸外国に学んだ地方交通政策を
長崎公共交通労働組合からは、規制緩和により黒字路線が新規参入した民間会社に取り上げられ、公営企業内における「内部補助機能」が崩壊、地方の公共交通の不採算が一気に加速されたことを報告しました。
現在、国交省等が行っている補助金の規模では地方の公共交通は維持できないこと、ヨーロッパなどの「独立採算」を前提としない地域公共交通補助制度、交通税などの経験に学び、日本も交通政策基本法の理念を活かして政策を見直すべきと迫りました。
労働基準監督署のレベルアップを要求
北九州市バス労働組合からは、私たちが運行ダイヤや勤務ローテーションの疑問点について労働基準監督署に問い合わせをした際に、労働局との間で「告示」解釈が違う事例があったことを具体的に示しました。
管理監督する立場でさえこのような状況、これには「告示」自体がわかりにくいことが原因であり、現場ではその誤った解釈に基づいてダイヤや勤務ローテーションが編成されている。
厚労省の担当者の情報共有やレベルアップ、「告示」の解釈をHPなどに公開するなどして、「誤った」ダイヤ編成・勤務ローテーションが起きないように要請しました。
また、バリアフリーの問題では国が補助金を出して車両や停留所を改良しても、違法な駐停車などによってその機能が発揮できないことや、地方では低床バスの普及率が低く導入が遅れていること、補助金が実効性をもって使われるよう関係省庁や自治体と連携をとって対策をするよう要請しました。
この間の運動を確信にさらなる前進を
総務省は昨年末「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書」を出し、非常勤職員への手当支給を明確にするなどの法改正を提言しました。
「報告書」全体では問題点も多々ありますが、非正規公務労働者に対する賃金差別改善へ踏み出したものと言えます。
そして、昨年の道路運送法改正による監査機能の強化、運転手の健康管理対策の改善、そして「告示」の問題でも国会で政府が追及されるなど、バス運転手の非正規化と労働強化でバス経営を「維持」するビジネスモデルは崩壊しつつあります。
私たち公共交通に働く仲間のさらなる結集と、利用者・住民との共同した運動で公共交通の充実をめざし、さらに前進して行きましょう。
要請行動には、日本共産党・山添拓参議院議員、梅村さえこ衆議院議員が参加、また、穀田恵二衆議院議員、田村貴昭衆議院議員、山下芳生参議院議員、吉良よし子参議院議員の秘書のみなさんが同席されました。