「なくそう!長時間労働・すすめよう!労働安全衛生活動」全国学習交流集会を開催
労働者の命と健康を守ることは、労働組合運動の原点であり、重要な責務!
6月2日、自治労連は「なくそう!長時間労働・すすめよう!労働安全衛生活動」全国学習交流集会を全国教育文化会館で開催し、全国から63人の参加で、学習・交流を深めました。
はじめに桜井副委員長(自治労連労働安全衛生・職業病対策委員会委員長)があいさつし、この間、全国でいっせい職場訪問や長時間労働問題解決への具体的な取り組みをしてきたことを踏まえ、「経験や到達を交流し今後の運動に活かしていこうとこの集会を開催した」と述べました。
基礎講座「36協定と厚労省ガイドラインについて」に強い関心
次に全労働省労働組合(全労働)東京基準支部の武知委員長を講師に迎え、「36協定と厚労省ガイドラインについて」と題し基礎講座を行いました。
武知氏は、労働時間の適切な把握が使用者の責務であることを強調し、実際の労働時間と把握された労働時間とのかい離の解消のために、労働組合の取り組みが大事と指摘しました。また、本庁等の職員に36協定を締結せずとも超過勤務を命じることができる根拠とされている労働基準法33条3項の解釈について、個人的な見解と前置きをしながらも、要件とされている「臨時の必要」の解釈については、恒常的に行われている業務がこれに当たるとは考えにくい、災害などの対応を想定していると述べました。講演には多くの質問があり、このテーマに対する関心の高さが伺われました。
基礎講座の後、集会の基調報告を水谷文中央執行委員(労働安全衛生・職業病対策委員会事務局長)が行いました。水谷事務局長は、多くの地方公務員の長時間労働や公務災害認定、病気休職などの推移を示したグラフデータの各資料を紹介し、働き方改革一括法案が、これらの過労死・過労死自死につながるような働かせ方を解消どころか促進するものとして廃案に向け取り組むことを呼びかけました。また、各単組の取り組みを紹介し「労働者の命と健康を守ることは労働組合の原点、その姿は労働者の目にしっかりと写っており、長時間労働解消は組合の組織強化拡大、公務公共サービスを守ることにもつながっていく」と述べました。
(記念講演)被災者や家族に寄り添うのが労働組合の役割
次に、自治労連弁護団の山口真美弁護士が「過労死・過労自殺を出さない職場をつくるため~公務災害認定闘争の意義」と題して記念講演を行いました。
山口弁護士は過労死・過労自殺の公務災認定事例、認定請求のための手続きについて述べ、さらに、被災者やその家族に寄り添う労働組合の役割が大事なことを強調されました。参加者からは、「アンテナを職場にはりめぐらして多くの職員・組合員からの声を聞き、早い対応を心がけていこうと思った。相談できる弁護士さんがいることも心強く思った」などの感想があり、参加者の心に響く講演となりました。
全国の取り組みの交流から大きな勇気をもらう!
とりくみ報告・交流では、4人の皆さんが実践報告を行いました。
八尾市職労のIさんは、本庁職場の労働安全衛生委員会の取り組みについて報告。所属ごとに各月の45時間超・100時間超の時間外労働を行っている職員数を明らかにさせ、さらに45時間超の職員については個人別に、超過勤務時間数はもとよりその業務内容・休暇取得の状況などを出させ、対策につなげていること、また36協定は締結していないもとでも、1ヵ月の超勤上限80時間かつ22時以降の超勤禁止などの「超勤キャップ制」を実施しているなどの取り組みを紹介しました。
目黒区職労のHさんは、36協定締結に当たり超勤手当の確保措置や超勤申請の上限設定など申請を阻害しないよう改善させたこと、また保育園での締結に向け、保育課長を招いての説明会を行い、適切な超勤申請のあり方について合意を広げるなどの取り組みを行ったことを報告しました。
浜松医療センター労働組合のNさんは、看護師は3年ではじめて一人前と言われており超勤申請に遠慮がちな中で、自己責任で終わらせず組合が後押しをして申請しやすい環境を作ってきたこと、2時間半を超える超勤は必ず組合に連絡させ、労安委員会の場でも報告させていること、こうしたもとで休暇もとりやすい職場となり、看護師が集まり理事者からも感謝されていることなどを述べました。
滋賀県職のSさんは、労基署や労働基準監督機関としての人事委員会の活用について報告。成人病センターや土木事務所で労基署からの是正勧告により長時間労働を改善させた経験や、申請した超勤は100%手当支給されているが問題は申請の自粛である実態から、人事委員会に監督機関としての役割を果たすことを要請。人事委員会自らが実態調査を行い、時間外の縮減について提言を発表し超勤申請の是正などの成果をあげていることを述べました。
また、会場参加者からの交流報告では、名古屋市職労・保育園部会が発言。サービス残業が常態化していた実態を調査し市との交渉で重点的に訴えてきたこと、愛知全県で行われた「保育労働実態調査」の結果等から仕事持ち帰りなどの不払い残業を明らかにしマスコミも取り上げたこと、さらに保育現現場の実態を広く知らせ世論を味方につけて増員をかちとる決意などが語られました。
集会の最後に中川書記長は、「全国の地方公務員の過労死・自死認定数は10年で192人。全国の正規地方公務員の定数は22年連続して削減され、54万人が削減される一方、65万人の非正規労働者によって住民サービスが担保されている」と指摘し、正規職員には長時間労働と健康破壊、非正規職員には劣悪な労働条件と不安定雇用があり、「ここに職場の最大の困難が横たわっている」と述べた上で、「働き方改革一括法案は過労死促進にとどまらず、過労死認定にさえマイナスの影響を受けかねない。なんとしても参議院で廃案するため職場・地域から奮闘しあおう」と呼びかけ閉会しました。