公立・公的424病院の再編・統合阻止へ⑧ 厚労省へ「再編・統合の再検証要請は白紙撤回」を求める
「住民のいのちと健康を守ることが第一」
1月15日(水)、全労連や中央社保協、自治労連などでつくる「公立公的病院等再編・統合阻止共同行動(424病院共同行動)」は、自治労連からも高柳副委員長、小泉中央執行委員が参加して、厚生労働省への要請行動を実施。厚労省は、医政局 地域医療計画課 医師確保等地域医療対策室の岩城昌也室長補佐が対応しました。
冒頭、全労連岩橋副議長が要請書を手渡し「公立・公的病院への再検証要請」の白紙撤回と地域医療の拡充などを求めました。これに対し厚労省は、「地域医療構想をすすめていくという観点から、全国一律の基準に基づいた客観的なデータ提供として、あくまでも今後の議論のための材料として公表した。厚労省としては、撤回ではなく、地域での議論に活用してほしい」と回答しました。※この要請行動の翌日(16日)の報道で、「診療実績データに誤りがあった」ことが判明。「客観的なデータ」という厚労省の説明の根拠さえ失われています。
「地域で医師、看護師の確保に影響が出ている」
これを受けて共同行動の参加者から「地域での検討結果をふまえたものでなく、17年度の古いデータを使って再検証を要請しているのはおかしい」、「公表したことで、地域で医師・看護師の確保に影響が出るなどの風評被害も出ている」などの実態を訴えました。厚労省は、「厚労省が、地域の事情をつぶさに集約して分析しているわけではない。提供したデータも活用し、地域の事情を加味して地域での議論の活性化をお願いしている」などの回答に終始しました。
自治労連「地域になくてはならない病院だ」
自治労連からは「地域から見れば、”全国一律”に意味はなく、地域性が第一だ。地域では住民のいのちと健康をどう守るかという視点で考えているのに、厚労省はどうやって病床を減らすかという視点で考えているから、かみ合わない」と述べ、あらためて白紙撤回を強く求めました。また「公立・公的病院はとりわけ災害時にも重要で、地域になくてはならない病院だ。地方自治に介入したという点でも重大な問題だ」と指摘しました。厚労省は「診療実績の分析では災害拠点病院等の事情は加味しており、重要な拠点であることは認識している」「偏在対策や医師の働き方改革と、地域医療構想を三位一体で進めていきたい」などと答えました。
最後に厚労省は「白紙撤回について応えることはできないが、地域での議論をすすめ、引き続き地域の医療体制について話し合っていただきたい」と発言。424病院共同行動は、今後も再検証要請の撤回を求め、地域医療を守り充実させる運動をすすめていく決意を新たにして、要請行動を終わりました。
2019年1月15日
公立・公的424病院への「再検証」要請を撤回し、地域医療の拡充を求める要請書
国民の健康・福祉の増進のための貴職のご活躍に敬意を表します。
さて、厚生労働省は2019年9月26日、2025年「地域医療構想」をふまえた公立・公的病院の「具体的対応方針」に関し、「再検証」を要請する424病院の名前を公表しました。この「再検証」対象は、高度急性期・急性期の病床を有する病院のうち、国が検証項目(がん・心疾患・脳卒中など9分野17項目)と判定基準(「A)診療実績が特に少ない」「B)類似の診療実績を持つ病院が近接」)を決め、各病院の診療実績を分析した結果に基づくものだとしています。これらの病院に対して国は、病院の統廃合・再編・ダウンサイジングをはかる方向で協議を行うことを求めており、まさに病院つぶし・地域医療破壊につながる「再検証」要請です。
今回、厚労省から名指しで「再検証」を求められた424病院の4分の3は200床未満の中小病院で、100床未満は8割余りが「再検証」とされ、所在地の構想区域は50万人未満が約7割、20万人未満が3分の1と、ほとんどが地方の中小病院です。医療資源が乏しい地方の公立・公的病院は、住民のいのちと健康の砦として地域になくてはならない存在でありながら、医師・看護師確保の困難など診療機能拡充に様々な困難をかかえているのが実態です。そうした地域の実情を一切勘案することなく、極めて限定的な全国一律の基準を用いて名指しで「再検証」を求め、地方・地域で合意した方針を国がくつがえすなど、地方自治や地域主権からも到底認められません。
以上の観点から、今回の公立・公的424病院に対する「再検証」の要請を白紙撤回し、いつでも・どこでも・誰もが必要な医療が受けられるよう、以下の項目を要請します。
要請項目
1.公立・公的424病院に対する具体的対応方針の「再検証」要請を白紙撤回すること。
2.いつでも・どこでも・誰もが必要な医療が受けられるよう地域医療を拡充すること。
以上