市民と職員 共に感動、共に語り考えあった「私たちのまち・岡山を考える市民のつどい2013」開催(岡山市職労)
毎年、岡山市職労が事務局となり実行委員会をつくって今年で21回目となる「私たちのまち・岡山を考える市民のつどい2013」が、9月15日(日)、9月16日(月・祝)に開催されました。
15日の前夜祭は「山陽新聞社本社・さん太ホール」で、大林宣彦監督作品の映画「この空の花 長岡花火物語」の上映を行い、台風の影響で大雨だったにもかかわらず、300席の会場は2回上映共に満席でした。
「この空の花 長岡花火物語」は、新潟県長岡市の花火をもとにした映画で、舞台あいさつにかけつけてくださった大林監督は、「長岡の花火を見たときに、涙した。それは、(長岡の人たちの)心が感じられたから」「山下清画伯の“世界中の爆弾が花火に変わったら、世界中から戦争はなくなるのになぁ”という言葉を知り、映画にしようと思った」と話されました。
この映画は、長岡空襲を受けた人々の平和への祈りと、中越地震、3.11の震災への復興への勇気と希望を実在の人物を通じてドキュメンタリータッチで描かれています。「戦争には、まだ間に合いますか?」という映画での言葉は、私たちが、未来にどう関わっていくべきなのかを考えさせてくれるものでした。また、大林監督は、「復興というのは物と金、便利さや効率ではなく、子どもたちが故郷に誇りを持ち、そういう故郷におとなたちがしていくことが大切だ」と話されました。参加者の感想からは、「すばらしかった。復興の花火に感激しました。震災復興そっちのけで戦争する国家づくりがすすむ中、どうしていくべきか考えさせられました」「今まで、戦争反対のメッセージはよく聞いたが、今までにない強烈な印象を受けました」「今まで9条改定に賛成でしたが、平和のために考えを改めたいと思います」などが寄せられました。この映画に託された、命と平和の尊さ、復興への希望と勇気、人との絆の大切さを多くの市民と職員で共感できた1日でした。
~鎌田慧さんの記念講演に復興と平和への思い広がる~
16日の午前中は、「教育・子育て」「保健・福祉・医療」「ESD(持続可能な開発のための教育)・食・農」「まちづくり」「平和」の5つの分科会が行われ、職員と市民合わせて約270名が参加しました。
午後からは、会場いっぱいに310人が集い、ルポライターの鎌田慧さんの「原発・憲法・怒りの今を刻む」と題した記念講演が行われました。鎌田さんは、「今は、労働組合だけが頑張れば、世の中が変わるものではない。市の職員や労動組合と市民が話しあい手を結んでいくことが必要。市民と職員が一緒に考え話し合うことを21年間、重ねてきたこの『市民のつどい』があることはすばらしいし、うれしく思う」「今は、市民と労働組合が一緒にやらないと新しい日本はつくれない。岡山市職労の運動の役割は大きい。公務員賃金が削減されているが、これでは地域経済はよくならない。職員対市民ではなく、一緒に考えていくことが必要。その中で市民サービスを市独自で考えていくのが地方自治。地方の民主化は、自治体職員と労組、市民の課題だ」と市民のつどいへエールを送ってくださいました。
原発問題では、「福島原発から、毎日汚染水が流れている。それを安倍首相は、安全にコントロールしていると言っている。チリの炭鉱崩落事故では、国家予算で全世界の英知が結集された。汚水を止めるために、国家予算を投入し国民的英知の結集が求められているが、実権は原発推進派が握っている。日本国民や子どもたちがどうなるかに無関心だ。日本の原発技術は高いなどと日本のトップが言うべき言葉ではない。私たちは危機一髪のところで生きている」と怒りに燃えた静かな口調に会場は緊張感で張り詰めました。
また、憲法については、「戦後、新しい憲法に希望を託した。今の憲法は、問題が起きても“絶対平和”で、話しあいで解決していくもの。また、“政治家が憲法を守る”ように規制している。しかし、それを変え、国民を憲法で縛り、裁判所を軍法会議に変えるもの」だと話されました。
最後に、「原発がない国にしなければ未来の子どもたちが安心して暮らせない。子どもたちへの責任は私たちひとりひとりにある。どのようにして原発が作られ、憲法が変えられようとしているのかを知り、自分で考えて行動していくことが必要だ」と訴えられました。
前夜祭の映画、大林監督の話、そして鎌田さんの講演は、「私たち一人ひとりが、未来の日本と子どもたちのために、本気で考え、行動していかなければならない」と決心させてくれるものでした。