『自由人十色』 2014季刊自治労連春季号より
困難から逃げず
前向きに打開する
斎藤 実
自治労連千葉県本部中央執行委員長
先日、自主製作映画『渡されたバトン・さよなら原発』を見てきました。2012年に製作協力運動によってつくられ、2013年1月に完成し、現在も全国で自主上映会が行われています。
新潟県巻町(新潟市の西隣の町)で1969年に突然持ち上がった巻原発建設計画に対して、電力会社からの莫大な補償金に群がる推進派のなかで、はじめは小さな反対運動が、町民自主住民投票→町長選→全国初の住民投票(1996年)を行い勝利するまでの4半世紀におよぶ住民運動の実話にもとづく映画です。
私は新潟県出身ですが、その当時にお盆に帰省した時にニュースで、巻町で「住民投票」が行われ原発建設反対派が勝ったニュースを微かに憶えていますが、そこに至る経過も運動も内容は全く知らなかったので、どうしても見ておきたかった映画です。
この映画は3.11東日本大震災と福島原発事故を経験した日本人、そして私たちに大切なことを教えてくれていると思います。
「巻原発住民投票を実行する会」を立ち上げ、96年の町長選で当選した元巻町長の笹口孝明氏は、「私たちが行った運動は、原発建設の賛成運動ではありません。町の将来にとって住民自身の将来にとって重大な決定事項は、住民の総意を確認し、その総意に基づいて決定すべきである。そのための住民投票の運動を行ったのです」と当時を語っています。まさに「住民自治」の精神を貫いた運動が、子や孫そして何代先の未来につなげる結果をつくり出したのではないでしょうか。
いまひとつは、映画のなかで「今、原発問題で日本一くわしい住民は、巻町の住民だ」という場面があります。反対運動を広げるなかで、住民のなかへ徹底して学習会を行っていきました。まさに「知は力」ですが、労働組合運動でも共通することだと思います。
まだこの映画を見ていない方は、ぜひご鑑賞されることをおすすめします。
さて、政治では異常なまでに加速する安倍政権の暴走をストップするたたかい、労働組合運動では公務員総人件費削減と賃下げの攻撃が続き、これらに対抗する私たちの運動もますます多忙になっていきます。
私は、日々の生活のなかで「困難から逃げず、前向きに打開する」ことをモットーにしています。今の社会では、普通に生活していくだけでも、さまざまな困難なことに遭遇します。そんなときに、困難から逃げるのではなく、その時点での最善の方法で前向きに打開することが次の可能性を切り開くと思っています。
そしてストレスをなるべくためないことが、心と身体の健康に欠かせないと思います。私の場合は、週1回は千葉駅近くのカラオケスナックで演歌をうなって発散しています。
みなさん、健康を維持しながら前向きにがんばりましょう。