日本自治体労働組合総連合について
地方自治体に働く公務員及び公務公共関係労働者を組織し、地方自治と住民の暮らしの発展と、働く者の権利擁護を統一的に考え運動している労働組合。地方自治体の首長と懇談するなど、憲法をいかした国と自治体づくりの取り組みをすすめている。私自身、「主権が国民に存することを認める日本国憲法を尊重し、且つ、擁護することを固く誓います。」の宣誓書を原点としている。
「改憲手続法」に対するスタンス
2007年に成立した「改憲手続法」は、明文改憲のレールを敷くためのものであり国民の側が求めたのではなく、政府の側が要求して進め、「立憲主義の原則」に反するとともに、制定過程から問題が山積した「欠陥法」である。「欠陥法」となった原因は、国民の中で十分な論議を尽くさず、「改憲ありき」で結論を急いだことにある。今回、また同じことを繰り返すことは、到底容認できない。
「改正」法案に関して
7年前の議論の到達点「公務員の投票運動は原則自由とした」ことを以下のように後退させている。
①特定公務員の範囲を広げ、罰則を科すことにした。
②組織により行われる投票行動に制限を加えることを検討していること。
③8党合意の確認書に、公務員及び教員の地位利用による投票行動に罰則を検討することが盛り込まれたこと。
①特定公務員の「投票運動」の禁止について
特定公務員の範囲を、裁判官、検察官、公安委員会の委員及び警察官としたことは、7年前の考え方そのものである。7年前の到達点は、「憲法尊重擁護義務」をもつ公務員こそ、積極的に国民投票運動に関与すべきであり、それを規制することは国民運動を委縮させるとの判断があった。
②組織的な行為の規制について
「労働組合」にとどまらず、公務員が加わった「市民団体」「サークル」「NPO」などの活動を規制することにつながり、結社の自由に反し、市民の自由な活動も制限することになりかねない。
労働組合は「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的」とし、そのために必要な政治活動や社会活動を行うことができる。
1)国民の中で大いに議論することが必要。労働組合の議論を保障し、アピールする機会が必要。
2)「憲法をいかして、住民のための仕事がしたい」というのは、組合員の要求であり、それを実践する責任がある。
3)現在の自治体・公務公共関係労働者は、憲法の理念に反する社会保障制度の解体などをすすめる政権のもとで、個人として憲法尊重擁護義務を果たすことが困難。労働組合に参加して初めて当局から独立して、憲法をいかし、守る仕事も可能となる。附則第4項は削除すべき。
③地位利用による国民投票運動の禁止規定の違反に対する罰則について
地位利用はあってはならない。不幸にしてあったとしても信用失墜行為等に対する公務員法制上の懲戒処分という制裁で十分対処できる。
「政治的中立」を理由に、憲法改定の是非に対する意見表明への委縮が始まっている。
「政治的中立への配慮」との言葉で、自治体が公共の施設を使わせなかったり、集会の後援を断る事態が相次いでいる。
政治的な問題には多くの国民、住民に関心をもってもらうために、自治体のあり方も重要。公務員に規制をかけることにより、主権者である国民、市民団体に対しても、委縮効果を生み、「国民の政治離れ」へとつながっていく。
国民の声を聞き、論議を尽くすべき
主権者である国民が委縮することなく自由に憲法改正についての意見表明ができることが重要であり、公務員への政治活動の制限は、国民全体の意見表明の委縮につながりかねない。
国民の多くが改憲に反対しており、自治体関係者も危惧している。関係者の意見も聞き、大いに論議を尽くすべきである。
「憲法は国民のもの、国民の意見を聞いて決めるべき」との考えを内外に明らかにし、国民の声を聞き、国会の場でも徹底審議を行なうことを求めるものである。
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