イスラム国による蛮行を厳しく糾弾する
イスラム国による湯川氏・後藤氏殺害行為に関し全労連が談話を発表
イスラム国による蛮行を厳しく糾弾する
2015年2月2日
全国労働組合総連合
事務局長 井上 久(談話)
後藤健二さんがイスラム国によって殺害されたとされる映像が配信された。湯川遥菜さんにつづく、とうてい許されない残虐非道な蛮行であり、全労連は満身の憤りをもって厳しく糾弾する。また、ご家族、関係者のみなさんに心から哀悼の意を表明する。
いま必要なことは、国際社会が一致結束して、資金源を断つことや外国人戦闘員の参加を阻止することなど、イスラム国を孤立させ、武装解除に追いこむことである。全労連は日本政府に、国際社会との連携を密にしてそうした方向での役割発揮を強く求める。また、今回の対応について国会等で十分検証し、二度と惨劇を起こさない教訓化を求める。
同時に、イスラム国だけでなく、テロ組織がはびこる土壌をなくす国際社会の一致結束した継続的な努力が強く求められている。トマ・ピケティ氏の『21世紀の資本』が大ベストセラーとなり、OECD(経済開発協力機構)やILO(国際労働機関)も格差拡大の現状を警告し、社会不安を取り除くだけでなく、健全な経済成長のためにも、その是正が必要と指摘している。国際援助団体オックスファム・インターナショナルの調査によれば、世界の上位1%の富裕層が世界の富の48%を所有しており、2016年中には50%を超えるとされている。
このような格差拡大の深刻な現実を踏まえれば、貧困の撲滅のために途上国への人道支援や人種・宗教など差別の撲滅、教育の向上などにおいてこそ、日本政府は国際社会と協調して積極的な役割を果たすべきである。また、日本でも、雇用の安定や社会保障拡充など、暮らし第一に政治の舵を転換すべきである。
今回の事件とも関連して、安倍首相が、アメリカ軍などによるイスラム国への空爆などに対する自衛隊の支援が「憲法上は可能」と述べたことは、極めて重大な問題である。今回の悲劇に便乗して、憲法違反の集団的自衛権の行使を可能にする法案準備の加速や、「邦人救出」を名目にした自衛隊の海外派兵を推進するような姑息なやり方は断じて許されない。
全労連は、そのことを安倍政権に厳しく指摘するとともに、憎しみの連鎖は第二、第三の悲劇につながりかねないということを指摘する。
戦争やテロで真っ先に犠牲になるのは、子どもたちやお年寄りなどの社会的弱者である。また、平和であってはじめて、人々は日々の暮らしを安寧に送ることができる。全労連は、平和を求める諸国民との連帯をさらに強化し、テロや貧困、差別をなくすため行動していく。