第16回公衆衛生全国交流集会開催
社会保障の拡充と公衆衛生の充実強化をめざして!今こそ憲法25条をいかし公衆衛生・地方自治を発展させよう!
3月7日(土)~8日(日)岡山県倉敷市倉敷ステーションホテルにて、第16回公衆衛生全国交流集会が開催され(主催:第16回公衆衛生全国交流集会実行委員会・自治労連公衆衛生部会)、8地方組織20単組・本部から56名が参加しました。
安倍政権の下、公衆衛生を含む社会保障の見直し・削減が横行する中、阪神・淡路大震災から20年目を迎えた今回の集会は、災害からの復興・公衆衛生支援の重要性を学び、また、新たな情勢を分析しこれからの公衆衛生業務をどう切り開いていくかを学び、今後の業務や活動の糧とすることを目的に開催されました。
1日目は、まず主催者を代表して石原公衆衛生部会部会長から、東日本大震災から4年経ち医療や介護等被災者支援が打ち切られ、一方復興の名を借りた大型開発や規制緩和など、国の姿勢が復興の妨げになっている現状が述べられました。そして、「震災以降、自治体の重要性が再認識されている。特に公衆衛生に従事する我々は、被災地の命と健康を守ることに重要な役割を果たしている。給与制度の総合的見直しをはじめ労働条件の改悪がすすみ、公務員を取り巻く情勢は厳しさを増しているが、住民の暮らしと命を守るためには我々自身が健康でいきいきと働き続けられる環境をつくっていくことが大事。大いに交流を図り学び今後の運動につなげていきましょう」と挨拶しました。
本部を代表して福島副委員長が、「安倍政権は、地方創生の導入を目指しながら、導入までの間は地方創生の観点から地方分権改革を進めていこうとしている。今、地方自治体は 人員が減らされ、財政が大変な中で仕事だけが移譲されており、その結 果、住民サービスに皺寄せがきている。公衆衛生は直接住民の命にかかわる問題であり、是非、地方分権改革に関して、公衆衛生に携わる皆さんの現場からの検証をお願いしたい。」と挨拶をしました。
-基調報告-
現地を代表して岡山県本部の鷲尾委員長から歓迎の挨拶が行われた後、梁瀬公衆衛生部会事務局長から「集会の意義と問題提起~社会保障の拡充と公衆衛生の充実強化を目指して~」と題して、基調報告が行われました。子供の貧困や高齢者層への負担増、感染症対策など、公衆衛生をとりまく問題が報告され、「職員が減少する中で行われている事務移譲の影響や問題点、公衆衛生の基本となる感染症対策の課題を共有し今後の業務や運動の糧とするとともに、夏の交渉課題の集約の場にしましょう。」と提起がおこなわれました。
-記念講演-
「公衆衛生と感染症対策」と題した高鳥毛関西大学社会安全学部教授の記念講演では、「我が国は国際的な感染症等の公衆衛生課題に対応するための公衆衛生体制と組織の整備がすすんでいない」「保健所・地方衛生研究所・検疫所・感染症研究所・厚労省などが一体となった健康危機管理体制をつくることが急務であること。そのためには公衆衛生基本法の整備が不可欠である」ことが、イギリスとの比較によって明らかにされました。
-特別報告-
特別報告では、兵庫自治労連の森栗委員長が、「阪神淡路大震災時における労働組合から自治体職員への安心感の提供」という労働組合や書記局が果たした重要な役割等について報告されました。現地からは、小野前笠岡市職労執行委員長から、笠岡市で発生した鳥インフルエンザへの対応について報告がされました。
-分科会・講座-
2日目は、3つの分科会(第1分科会:行革と公衆衛生・職場の問題 第2分科会:虐待防止に向けた自治体保健師の役割 第3分科会:食と環境の安全安心)と特別講座「災害対策と保健師活動」に分かれ、活発な議論・問題点の共有が行われました。特別講座に参加した東京・世田谷区職労の鳥谷邦子さんは、「東京での直下型地震が想定される中で改めて災害時における自治体職員としての構えを確認できてよかった。講師の波川京子先生から問題提起のあった「避難を拒否する人をどうするのか」、「第3者に2時間程度で地区・業務の内容が理解できるように説明できるか」などについて今後職場の中でも論議していきたい。」と話していました。
第1分科会「道州制・地方分権改革『地方創生』などをめぐる情勢と自治労連の取り組み」では、自治労連本部久保中執が助言者を務めました。
公衆衛生部会では、今回の集会を、7月に行う予定の厚生労働省交渉での課題の集約の場としても位置付けており、今後、分科会等で出された意見のまとめをすすめていくことにしています。