労働者派遣法をはじめとする労働法制
大改悪と断固たたかう(書記長談話)
労働者派遣法をはじめとする労働法制大改悪と断固たたかう
2015年5月13日
日本自治体労働組合総連合
書記長 中川 悟(談話)
安倍政権は、5月12日の衆議院本会議で、三度目となる労働者派遣法「改正」法案の趣旨説明を行い、実質的な審議がはじまった。政府・与党は、短期間の審議で、5月中にも衆議院を通過させる構えであることが報道されている。
本「改正」案は、同じ職場での派遣労働者の受け入れ期限を事実上、撤廃する規制緩和策であり、企業には必要な時に必要なだけ、使い勝手のよい安価な労働力を提供する一方で、派遣労働者には低賃金で不安定な派遣労働を、生涯にわたって強要するという、格差社会をさらに進行させる大改悪案である。
それは、15春闘期を通じて、労働者の賃金引き上げによる「経済の好循環」を言い続けてきた安倍首相自身の発言にも真っ向から反するものと言わざるを得ない。
また、この「改正」案は、自治体にとっても無縁のものではない。現在、全国の自治体職場では、自公政権による地方財政切り捨ての下で、窓口業務のほか、給食や保育の職場などで、職員の非正規化とともに、安上がりな派遣労働者が増大している。受け入れ期限の事実上の撤廃は、継続性が重要な要素となっている自治体の業務においても、正規から臨時・非常勤へと進められた職員の置き換えを、さらに派遣へと大きく一歩を進めるものである。これは、公的な住民サービスを、民間人材派遣会社のもうけの道具へと変質させるものにほかならない。
安倍政権は、「世界一企業が活躍できる国」というスローガンを掲げ、労働者派遣法「改正」に続き、残業代ゼロ・過労死促進の労働基準法等「改正」案の成立をうかがい、さらに、金銭による解雇自由化さえねらっている。最初は、ごく一部の適用に限るものだとしても、いずれ大半の正規労働者に広げられることは、これまでの労働者派遣法の変遷や財界からの発言からみても想像に難くない。
これらは、一方で低賃金の非正規や派遣労働者に置き換えながら、かたや正規労働者には、限りなき長時間労働を強制する、「世界一労働者を使い捨てにできる国」への転換とも言うべきものである。
自治労連は、自治体や公務・公共職場に働く仲間と、地域住民の豊かな暮らしのためにたたかう労働組合として、国民の願いを無視し、戦争法制や医療制度改悪等とともに安倍内閣の進める一連の労働諸法制改悪に対し、あらためて全国の職場・地域から、その阻止のために断固たたかうことを表明する。
以上