(談話)一部キャリアのみ優遇では大多数の公務員は“魅力”を感じない すべての公務員が誇りと希望を持って働き続けられる制度が必要 「人事行政諮問会議」最終提言について
一部キャリアのみ優遇では大多数の公務員は“魅力”を感じない
すべての公務員が誇りと希望を持って働き続けられる制度が必要
「人事行政諮問会議」最終提言について(談話)
2025年4月2日
日本自治体労働組合総連合
書記長 橋口 剛典
人事院の有識者会議「人事行政諮問会議」は、最終提言をまとめ、3月24日に人事院総裁に提出した。国家公務員の人材確保が危機的状況にあるとの認識からさまざまな対応を求めるものであるが、「給与制度のアップデート」で示された「能力・実績主義」のさらなる強化と本府省職員の優遇により、中央と地方との間にいっそうの格差拡大と分断をもたらすものであり、断じて許しがたいものである。
提言では国家公務員の「行動規範」の制定を求めており、①「国民を第一」に考えた行動、②「中立・公正」な立場での職務遂行、③「専門性と根拠」に基づいた客観的判断、を掲げている。こういった行動規範は日本国憲法を尊重・擁護し、「全体の奉仕者」として行動する公務員としては当然である。しかし、提言はこの「行動規範」を実現する内容とはなっておらず、「能力・実績主義」をいっそう推進することを強調している。すでに民間では行き過ぎた成果主義の弊害が指摘されているが、特に公務ではチームワークや住民に寄り添うことこそが重視されるべきであり、時の権力者らにおもねる職員だけが優遇される危険性の高い制度はなじまない。個人の能力・実績よりも組織力を高める視点が必要である。
長時間労働の課題は、公務員を志望することを躊躇する要因であり、早期退職の主な理由でもある。提言は「長時間労働もやむを得ないとする職場風土や職員意識を抜本的に切り替えることが求められる」にとどまり、長時間労働が人員不足に起因していることから目を背け、職場や職員の意識の問題にすり替えている。勤務間インターバルの確保についても具体的な言及はない。誰もが健康で働き続けられる、魅力ある公務につながる制度が必要である。
何よりも許しがたいのは、官民給与の比較対象企業規模(現行50人以上)について、提言は「少なくとも従前の100人以上に戻すべき」としつつ、「特に、政策の企画立案や高度な調整等に関わる本府省職員については…(中略)…少なくとも1,000人以上の企業と比較すべき」と、本府省職員のさらなる優遇に言及していることである。これでは本府省職員以外の大多数の公務労働者は報われず、士気の低下を招き、公務の質の低下が懸念される。公務員の人材確保の課題は地方のほうが深刻であり、また中高齢層職員のがんばりにも応える賃上げとなるよう、すべての職員を対象に比較企業規模を1,000人以上にするべきである。
国家公務員の給与制度は公務・公共関連職場で働くなかまの賃金にも大きな影響を及ぼす。自治労連は「能力・実績主義の強化」「本府省職員優遇」ではなく、「だれもが希望と意欲をもてる公務員制度」の実現に向けて全力でたたかうものである。
以上