衆院委員会での戦争法案強行採決を糾弾し、断固廃案を求める(談話)
衆院委員会での戦争法案強行採決を糾弾し、断固廃案を求める(談話)
日本自治体労働組合総連合
書記長 中川 悟
本日、安倍政権は、集団的自衛権行使や戦闘中の外国軍を支援する後方支援などを内容とする憲法違反の戦争法案を、国民多数の反対の声に耳を傾けることなく、衆院安保特別委員会で強行採決を行った。自治労連はこの暴挙を満身の怒りをこめて糾弾する。
戦争法案は明確な憲法違反である。これまで40数年にわたり政府が積み上げてきた憲法解釈を180度変更し、法案を合憲と主張する政府に対し、憲法学者、歴代の内閣法制局長官らが「明確な憲法違反」「従来の政府見解とは相いれない」と国会で陳述し、自民党の元幹部・閣僚経験者さえ「最高法規の解釈を自由に変え得るなら法治国家としての根底が揺らぐ」などとして反対の声を上げている。
安倍首相自身が本日午前中の審議で「国民の理解が進んでいないのも事実」と認めながら、採決を急ぐのは「60日ルール」を利用し、衆議院での多数をもって強引に成立させようとしているからにほかならず、言論の府にあるまじき民主主義破壊の蛮行というしかない。
しかも、安倍政権はこの法案を成立させたのちには、9条改憲もおこなおうとしている。日本を「戦争する国」につくり変えようとする違憲の法案は直ちに廃案にすべきである。
法案に反対する運動は、従来の枠組みを超えた幅広い共同の取り組みとして、かつてない広がりを見せ、騒然とした状況を作り出している。
すべての弁護士が加入する日本弁護士連合会は、安保法制は違憲だとして反対する意見書を採択し、各地の弁護士会も街頭宣伝などを積極的におこなっている。法案に反対する憲法学者が国会前でリレートークをおこない、東大をはじめとする各地の大学でも教官と学生が一緒に反対の集会を開催、若者が全国でデモを行い、国会を包囲する集会・座り込みが連日続けられている。「反対」や「慎重審議」を求める地方議会意見書は7月11日までに38都道府県265議会に達し、さいたま市議会をはじめ自民・公明党議員も含め全会一致で採択されているところも少なくない。世論調査でも法案への反対が6割、今国会での成立には6~8割が反対している。
「平和でなければ町づくりはできない」との自治体首長の声もあるように、住民のいのちとくらしを守ることを責務とする自治体・自治体公務公共労働者にとっても、戦争法案は重大な影響を及ぼす。我々は先の大戦で、住民を国の起こした戦争へと駆り立てた痛苦の反省から、「二度と赤紙を配らない」をスローガンに、これまで憲法を守り、いかす運動に取り組んできた。しかし、この法案が通れば、またも、痛苦の歴史を繰り返すことになる。自治労連はこの法案を絶対に許すことはできない。
衆議院安保特別委員会での採決は強行されたが、法案に反対する運動はいっそう広がっている。
我々は、職場からの学習を基礎に、職場・単組決議の採択、首長の声を集めること、衆・参の国会議員地元事務所への要請、街頭宣伝・署名行動の強化など、創意ある行動を旺盛に取り組み、圧倒的世論で国会を包囲し、廃案を勝ち取るために組織の総力を挙げる。そして憲法と民主主義を乱暴に踏みにじる安倍政権を退陣に追い込むために、自治労連は全力を尽くすものである。
2015年7月15日