「働き方改革」一括法案の強行採決・成立に対し、満身の怒りをこめ抗議する(談話)
2018年7月2日
書記長 中川 悟
6月29日、過労死を促進する残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)を盛り込んだ「働き方改革」一括法が参院本会議で自民、公明、維新などの賛成で可決・成立が強行された。
「働き方改革」一括法案は、衆院での審議段階から様々な問題点が指摘されてきた。裁量労働制の拡大に関しては、前提となる労働時間比較データのねつ造が露見し、法案から削除に至った。特に、「高度プロフェッショナル制度」については、そもそも立法事実となる労働者のニーズが無かったことが明らかになり、安倍首相自ら審議終盤で、これが経団連の要請でつくった制度であることを認めた。
私たちは、本来労働者を守るべき労働政策の役割を放棄し、「生産性の向上」をひたすらに追求する財界の要求にそって労働者のいのちを差し出す「一括法」の成立に対し、満身の怒りをもって抗議する。
法案自体は成立したが、「働き方改革」一括法については、前代未聞の47項目もの付帯決議をつけざるを得ず、詳細は90を超える政省令や指針にゆだねられている。私たちは、引き続き今後の労働政策審議会での審議に向けた働きかけをすすめる。
自治体・公務公共の職場でも長時間過重労働が蔓延しており、過労死・過労自死が後を絶たない現状にある。私たちは、こうした状況の改善のため取り組みをすすめてきたが、さらに実効性ある労働時間規制をめざし、この法案の成立による負の影響から職場の仲間を守り、健康で安心して働ける職場づくりのため力を尽くす。
政府・財界の狙いがいかに悪辣であれ、「働くルール」を求める国民・労働者の声は押しとどめられない。過労死・過労自死をなくすこと、8時間労働原則を徹底すること、8時間働けば人たるに値する生活を営める賃金を保障させることは、日本の未来を左右する問題である。
この間、労働組合だけでなく、法曹関係者・過労死家族の会・エキタスなど幅広い人々が法案に対し反対の声を上げてきた。また立憲野党の共闘も発展した。私たちはこうした人々とともに、「一括法」の廃止と、「働くルール」が守られる社会をつくるため、奮闘していく。
以上