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東京オリンピック・パラリンピックを直ちに中止し、いのち・くらしを守ることを最優先に(談話)

2021年5月14日
書記長 石川 敏明

 新型コロナウイルス感染は拡大の一途を辿り、深刻さが増している。政府は三度目の緊急事態宣言を発出し、5月12日から対象地域を拡大し期間も延長したが、感染は収まっていない。

 東京や大阪など大都市では病床も看護師も足りず、医療現場は深刻な事態に陥っている。感染しても入院できず、搬送先が見つかるまで何時間も救急車の中で待機する人が沢山いる。自宅療養の患者は大阪だけで1万4千人を超え、そのまま亡くなる人も増加している。
 この一年間に多くの人が職を失い、自殺者が増えた。廃業する店舗・中小企業が後を絶たず、国民のくらしと生業が奪われた。
 現状を直視せず、抜本的な対策を怠り、東京オリンピック・パラリンピックの開催に固執する菅政権の責任は重大である。政府は国民のいのちを守るため開催を断念し、感染対策優先に転じるべきである。

 オリンピック・パラリンピックは、世界中の人々が一同に会し、スポーツを通じて国境を越えた友情と連帯を育む「平和の祭典」であり、いのちが最優先される大会でなければならない。新型コロナウイルスの流行が世界的に抑え込まれていることが、開催の前提である。
 日本のワクチン接種率は、OECD加盟国中最下位である。菅首相の言う「安全・安心な五輪」が実現できる根拠は、どこにもない。
 本気で国民を守る気のない政府と、都民に自粛だけを押し付け、積極的な対策を打たない小池都知事に、もはや「平和の祭典」を開催する資格はない。

 都内など各地の自治体は、厳しい体制の中で新型コロナウイルスから住民を守っている。保健所・病院だけでなく、ワクチン接種業務などを担っている。一部の自治体は、さらに大会組織委員会等に職員を派遣し、ホスト・タウンや聖火リレーなど関係業務に従事している。しかし今、「平和の祭典」は「不安の祭典」となっている。菅首相と小池都知事は、尽力している自治体職員の努力を踏みにじっている。

 優先されるべきはいのちである。自治労連は、東京オリンピック・パラリンピックを即時中止し、国・自治体が感染対策に総力を挙げ、国民のいのちとくらしを守る業務に専念する人員・体制の強化を求める。医師・看護師・保健師などの人員増で、誰もが安心できる医療・公衆衛生体制を確立するために全力をあげるものである。

以上

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