総選挙で国民のいのちとくらしを守りきる政治に転換しょう ― 自民党政治にノーの審判を下そう ― (談話)
2021年10月15日
書記長 石川 敏明
10月4日の臨時国会で選出された岸田首相は、わずか十日後の10月14日に国会を解散した。10月19日公示、10月31日投開票で総選挙が行われる。コロナ対策への十分な審議を求める野党の要求を聞き入れることなく、国民に本質が知れわたる前に選挙に出ようという姑息な手である。
10月8日の所信表明演説も空疎な言葉にあふれていた。コロナ対策について「常に最悪の事態を想定して対応する」といいながら、「国民全員の団結力によって一歩一歩前進してきました」と反省も教訓もない。「格差大きくなっている」「新自由主義的な政策が深刻な分断を生んだ」に至っては、そういう「指摘があります」とまるで他人事のような言葉を使い、「大切なのはセーフティーネットが確保されることです」と菅前首相の発想と同じ。「核兵器のない世界」をめざすと言いながら、「核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努め」と核兵器禁止条約についての言及さえない。一方で、憲法改正について各政党に「建設的な議論」を促すなど憲法違反の発言をしている。
10月1日に党役員人事を発表したが、「政治とカネ」問題で閣僚を辞任した人物を要職につけた。甘利明新幹事長は、建設業界から金銭を受け取り、経済再生担当相を辞任した人物である。小渕優子新組織運動本部長は、政治資金規正法違反を問われ経済産業相を辞任した。「政治とカネ」問題への反省さえない岸田内閣の本質が現れている。
さらに、憲法第53条に基づいて野党が求めた臨時国会を拒否し、自党の総裁選の都合で開会。熟議の時間も保障せず、ただちに解散するなど憲法違反・党利党略である。何度も「丁寧な対話」と言いながら国会を軽視する姿勢は、安倍・菅政治と何も変わらない。自民党には、政治を語る資格がないと言わざるを得ない。
コロナ感染は収束していない。繰り返す感染爆発のもとで、保育所や学校などで感染が広がっている。医療や公衆衛生の現場では、人員不足による長時間過密労働が強いられ、先の見えない事態が続くもとで、肉体的にも精神的にも限界を超えている。
自民党の総裁選を通じて、「ロックダウン」などの強い権限を政府に持たせる議論が活発化した。政府は、これまで国民に我慢だけを押し付けてきた。必要な対策をすすめず、強権でさらなる我慢を押し付け、国民の自己責任に転化する姿勢は、絶対に許されない。
大阪では、吉村知事が第5波中に500床の軽傷中等病床を民間病院に要請したが、8月20日時点で数床にとどまったとの報道がされた。10月2日に松井一郎大阪市長は「国の方針の下で保健所の体制は圧縮されてきたが、パンデミックになった時に脆弱さが明らかになった。大阪市のみならず、国でしっかりと議論をして体制を強化することが必要だ」と発言。1年半もの間、体制強化をしなかった反省の言葉はない。他力本願のお願いや要請ではなく、国と自治体が責任をもって臨時病床の設置や医療従事者・保健師・公衆衛生従事者の増員を行わなければ、同じことを繰り返すだけである。病床削減推進法の廃止、公立・公的病院の削減方針を撤回し、医療体制の抜本的拡充をすすめることこそが求められている。
この間の民主主義破壊と憲法蹂躙は、国民との矛盾を拡大し続けている。学術会議の任命拒否をはじめとした違法政治。辺野古新基地建設や馬毛島米軍基地建設など、住民と地方自治体の意見を聞こうともしない強行政治。「モリカケ問題」や「桜を見る会」にみられる政治の私物化。「政治とカネ」問題への無反省など、数え上げればキリがない。
「市民連合」と立憲民主党、共産党、社民等、れいわ新選組の野党4党は、9月8日に衆議院選挙の共通政策を締結した。9月30日には、立憲民主党と日本共産党が閣外協力を含む政権について合意した。国民の声と運動が政治を動かしている。10月31日投開票の総選挙で、自民党政治にノーの審判を下し、国民のいのちとくらしを守りきる政治に転換しょう。
自治労連は、公務公共の拡充など国民と職場の要求実現の立場で総選挙に臨み、本気でコロナから国民を守れる新しい政権確立のために全力を挙げるものである。
以 上