健康保険証のマイナンバーカード一体化(事実上の強制取得)の撤回を強く求める(談話)
2022年10月18日
書記長 石川 敏明
河野太郎デジタル相は10月13日の記者会見で、マイナンバーカードと健康保険証の一体化をすすめるために「2024年度秋に現在の健康保険証の廃止を目指す」と表明した。これは、誰もが使う健康保険証の機能を同カードに一本化することで法律上「任意」とされてきたカードの取得を事実上強制するものである。
その後、河野太郎デジタル相は、17日の衆院予算委員会において、来年の通常国会にマイナンバー法改定案を提出する旨を明らかにしたが、13日から始まった「保険証を廃止して、マイナンバーカードに一本化することに反対する緊急署名」への賛同は、17日時点で10万人分を超えている。
マイナンバーカードを保険証として使える制度は、21年10月に本格運用が始まった。しかし、この制度の登録は全人口の約2割にすぎず、専用のカードリーダーを設置した医療機関や薬局は約3割に留まっている。マイナンバーカードの取得自体も、政府は来年3月末までにほぼ全国民に行き渡ることをめざしているが、2万円分付与のマイナポイントなどで取得を誘導したにもかかわらず、いまだに交付率は5割程度に留まっている。
自治体では、既に窓口業務で保険証の再発行が毎日あるなど多忙な状態にあるが、さらに事務量が増加し休日勤務等で発行業務にあたらなければならなくなることが危惧される。また、同カードに内蔵する電子証明証の有効期限は5年で、10年ごとの更新も必要になり、新たな業務が増えることで職員にいっそうの負担を強いることになる。
先日、滋賀県栗東(りっとう)市において、本人の意思に反し、マイナ保険証に誤登録されるミスが起きていたが、一旦紐づけされたデータは解除できない状態となり、情報保護の点でも大きな問題があること明らかになった。さらに、システム導入に伴う多額の経費や維持費の発生等、医療現場へ大変な負荷をかけることも懸念される。いま求められているのは、コロナ危機でひっ迫している医療現場の体制拡充、住民福祉の充実へ向けた予算増である。
自治労連は、6月に行った府省交渉で、「マイナンバーカードを持たないことによる不利益はあってはならない」ことを要求し、デジタル庁もこれに同意している。マイナンバーカード取得はあくまで「任意」であり、保険証との一体化は許されるものではない。
自治労連は、マイナンバーカードの事実上の強制取得となる健康保険証との一体化の撤回を強く求める。
以 上