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保険証廃止を撤回し、現行保険証の存続を(談話)

2023年8月7日
書記長 石川 敏明

 マイナンバーカードと保険証の紐づけでトラブルが相次ぐなか、岸田首相は4日の記者会見で、来年秋の保険証廃止について現時点では維持するとの考えを示した。自治労連は、岸田首相の保険証廃止方針に固執する姿勢に断固抗議し、直ちに廃止方針を撤回し、現行保険証を存続するよう強く求める。

相次ぐトラブルに無反省の首相会見

 記者会見では、今年秋までに行うマイナンバー情報の「総点検」の進み具合によっては廃止時期の変更にも含みを持たせた。また、マイナ保険証を保有していないすべての人に、保険証に代わる「資格確認書」を申請が無くても交付する「プッシュ型」にすると表明。有効期限を最長5年以内で延長可能とし、それぞれの保険者が決めるとしている。これまで、本人からの申請を原則とし、有効期限は最長1年としてきたが、国民の批判を前に、見直しを言及したものである。

 岸田首相は、相次ぐトラブルの政治責任に対し「これまでの普及の進め方に瑕疵があったとは考えていない」と強弁した。しかし、誤登録による個人情報の流出、医療受診窓口で本人確認ができないなどは、国民のいのちや権利に関わる重大な瑕疵である。また政府は、マイナポイント付与という手法で強引にマイナンバーカードの普及を図り、現行保険証の廃止を決定するなど取得を事実上強制し、「カード取得は任意」という原則に反する事実上の強制を進めてきた。

 河野デジタル担当相は、マイナンバーカードの活用拡大は行政運営の効率化につながるとしている。しかし、自治体窓口では、通常業務に加え、マイナンバーカードやマイナ保険証の申請、マイナポイントの手続きで負担が増し激務となっている。これに、秋までの「総点検」や保険証廃止に伴う業務、「資格確認書」の発行業務が加われば膨大な事務作業となり、さらなるミスが繰り返さる危険がある。また、「資格確認書」発行には百億円以上の費用が掛かり多額の支出をともなう。自治体職員からは、「資格確認書の発行は、本人確認のためシステム導入費と人員も必要となり、合理的でない」、「総点検は、国が問題や課題を精査しないまま、自治体に責任をなすり付けるような気がして不安」、「人員不足で負担が増えるなか、首相の会見で不安になった」などの声があがっている。

 岸田首相が廃止方針に固執する背景には、マイナンバー制度をめぐる政官財の癒着がある。マイナンバー事業に制度設計段階から関わってきた5社連合は、内閣府から123億円1200万円で受注している。そのうちNTTコミュニケーションズを除く、富士通、日立製作所、NEC、NTTデータの4社は、自民党の政治資金団体に5.8億円もの献金をしていたことが明らかになっている。また、この4社には、内閣府や総務省、財務省、経済産業省、国土交通省などの幹部が多数天下っているなど、癒着構造が露呈している。

現行保険証の存続が唯一の解決策だ

 いま国民の不安を払拭する唯一の方法は保険証を存続させることである。この間の各紙世論調査でも、保険証廃止の「延期・撤回」が7割を超えている。自治労連は、中央社保協・医団連が実施する「保険証存続署名」(「現行の健康保険証を残してください」請願署名)などに取り組む。国に対して、保険証廃止を直ちに撤回し、現行保険証の存続を国に対して強く求めるものである。

以 上