「生活保護法改悪法案」の廃案を求める(談話)
国民の申請権を侵害し、餓死や孤独死をうみだす「生活保護法改悪法案」の廃案を求める(談話)
2013年5月31日
日本自治体労働組合総連合
書記長 猿橋 均
安倍内閣は、5月17日に「生活保護法の一部を改正する法律案」「生活困窮者自立支援法」を閣議決定した。5月29日から衆議院で審議入りし、31日には可決を狙うなど、今国会での成立を急いでいる。
自治労連は、生活保護行政の第一線に立つ労働組合として、生活保護の制度改悪に断固反対する。
改悪案は、生活保護申請者に対し、申請時の添付書類提出の義務を課すとともに、扶養義務者への通知や、扶養義務者の収入や資産に関わる調査権の明記など、申請手続きを厳格化するとしている。これまで違法とされてきた、申請を不受理とする「水際作戦」を合法化・法制化するものであるとともに、要保護者の申請意思を委縮させ、貧困をさらに深刻にするものと言わざるを得ない。
こうした内容が明らかとなった5月中旬以降、当事者組織や支援組織、さらには日弁連などが緊急会長声明を出すなど、国民的な反撃の世論が急速に高まっている。
こうした中で、自民・民主・公明・みんなの4党が「特別の事情」を例外とする修正で合意したが、この修正も、政府案が持つ問題点を抜本的に解決するものではなく、むしろ今国会で成立させる動きを加速するものとなっている。
生活保護制度利用者が年々増加している。その大きな原因は、年金や医療・介護保険をはじめとする社会保障制度の悪化と、賃金水準低下、労働者を使い捨てにする労働法制の規制緩和にある。
こうした問題を放置したまま、生活保護の間口を狭め、遠ざければ、今でも深刻な餓死・孤独死事件を、さらに多発させることにつながりかねない。
自治労連はこれまでも、生活保護職場の役割について、「制度の利用に罪悪感や劣等感を負わせることなく、必要な人にきちんと制度を行き渡らせること」とし、それができる職場づくりを進める運動を広げてきた。今回の法改悪は、こうした努力を踏みにじるだけでなく、申請者の権利を切り刻む行為を、自治体・福祉事務所に負わせるものであり、断固として容認できない。
憲法25条に基づき、国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するため、今回の法改悪を許さないことはもちろん、生活保護基準の引き下げ反対と改善、さらには社会保障制度改悪を許さず、国民、労働者の生活と権利を守るために、関係諸団体との共同を広げ、たたかうものである。
以上