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地方公務員の賃金削減の強要を許さず

自公政権による地方公務員の賃金削減の強要を許さず、すべての労働者の賃金引上げによる地域経済活性化、国民生活改善を掲げたたかう(談話)

2013年1月28日
日本自治体労働組合総連合
書記長 猿橋 均

 1月24日、政府は、昨年11月16日の12人事院勧告の取り扱いに関わる閣議決定を変更して、高齢層の昇給抑制を来年1月から行い、さらに地方公務員についても、この取り扱いに準じるとともに、国家公務員に準じた賃金削減を要請するとした閣議決定を行った。

 麻生副総理・財務金融大臣は、閣議決定後の記者会見で、「7.8%の給与削減はとっくの昔に決まっていたのに何もしないでほっておいた。急な話ではない」と述べ、新藤総務大臣は、高齢者の昇給抑制措置に関わる閣議決定の変更に関わって「前内閣が決めたこと」と切り捨てるとともに、国に準じた地方公務員賃金の引き下げについて「国・地方の公務員が、まず国家社会に対して協力し、この国の行財政改革を進めていくんだという姿勢を示す」としている。

 また、同日の閣議では、来年度予算編成の「基本方針」が決定され、その中には、地方への給与削減の要請を反映し、地方交付税や義務教育国庫負担金を算定することも、盛り込まれている。

 今、地方公務員には、道理も合理性もなく国家公務員に強行された400万円もの退職手当削減が押し付けられようとしている。一方で、地方財政危機を理由とした賃金の一律カットは後を絶たず、劣悪な待遇におかれる非常勤職員が3割を超える状況にある。国に準じた賃下げの押しつけによって、生活が立ち行かなくなる事態が現実のものになろうとしている。

 財界が1月21日の「経営労働委員会報告」で、すべて労働者に更なる賃下げと雇用の不安定化を求めている中、地場賃金に大きく影響する地方公務員の賃金削減を強行することは、春闘での労使交渉に冷や水を浴びせ、民間賃金全体の抑制につなげることを狙うものである。
 同時に、自公政権が、予算編成の基本方針で、生活保護基準の引下げを強行しようとしていることは、生活保護それだけに止まらず、住民税の非課税基準や就学援助の給付基準、さらには最低賃金に大きな影響を与えるという、労働者国民に耐えがたい生活水準の切り下げを押し付けるものにほかならない。

 閣議決定では、その理由について、東日本大震災を契機とした防災・減災事業の必要性、長引く景気の低迷を受けた地域経済活性化など、地域の課題に迅速に対応するため」としている。
 しかし「防災・減災の必要性」は単なる口実である。参議院選挙を前に「成長戦略」「国土強靭化」として、今後10年間で200兆円にも及ぶ公共投資をぶち上げ、その財源に地方財政をも総動員するよう、地方交付税や地方の総人件費の抑制を意図したものである。

 また、地方公務員の平均7.8%削減は、7月からの実施でも9千億円の削減額となる。すでに削減が実施されている国家公務員はもちろん、公務公共関係労働者、医療・福祉・教育労働者など、その影響は600万人以上に及び、地域経済活性化どころか、著しい悪影響を与えることは言うまでもない。

 政府が、地域経済活性化を本気で進めようというのであれば、生活保護基準の引下げや公務員賃金抑制でなく、莫大な利益をため込んできた大企業や富裕層に応分な負担を求め、すべての労働者の賃上げで内需拡大、景気回復を図るべきである。

 さらに、賃金削減を進める政府のやり方にも、重大な問題点を指摘しなければならない。
 政府・総務省は、昨年の自治労連との交渉の中でも、「国家公務員の賃下げを地方に強制するな」の私たちの要求に対し、「地方自治体の賃金決定は地方が自主的に決めること。財政措置を含む強制はしない」と繰り返し回答してきた。昨年来、総務省や財務省に対する賃下げ強制反対の申し入れや職場からのファクス要請、民間労組とも共同した地元議員要請など職場・地域の声も訴えてきた。また、1月22日には、全労連公務部会として、財務省・総務省要請も行ってきた。

 しかし、今回の閣議決定は、政府決定として行ってきたこの約束を、労働組合に対して1度の申し入れも交渉も行わず反故にするという、労働基本権の制約の上に、問答無用で賃下げを押し付けるものであり、決して容認することはできない。

 また、地方交付税をタテに、自治体労使間での自主的な賃金決定を否定する行為は、地方自治への重大な介入・干渉であり、許しがたい暴挙と言わざるを得ない。この問題では、1月21日には全国市長会、23日には全国知事会も、「地方自治への侵害を行うべきではない」旨の要請を行っている。

 自治労連は、地方公務員のみならず、すべての労働者の賃下げにつながるとともに、地域経済をさらに低迷させ、地方自治への重大な介入・干渉となる、地方公務員への賃金引き下げを強要する閣議決定に断固として反対する。

 同時に、自公政権による財界・大企業言いなりの国民犠牲の政策を許さず、生活保護をはじめとした社会保障と公務公共サービスの拡充、すべての労働者の雇用安定と賃金引き上げ、憲法がいきる地域づくりの要求を対置し、13春闘勝利に向けた公務・民間、国民共同のたたかいを全力で推進するものである。

以上

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