6月20日、障害者総合支援法が、わずか3時間足らずの審議、参考人質疑もないまま、民主、自民、公明3党の賛成多数により参議院で可決、成立した。日本共産党、みんな、社民の各党は反対した。傍聴席には100以上の障がい者、障害者団体や関係者が集結し、参議院議員会館前にも多くの障がい者の方々が車いすや杖をついて駆けつける中、採決が強行された。
そもそも障害者自立支援法は2010年、「多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけた」として当時の長妻厚労大臣が謝罪し、国は障害者自立支援法違憲訴訟団と自立支援法の廃止と新法制定を明記した「基本合意」を結んで和解したという経過がある。これに沿う形で2011年8月、新法制定に向けて「骨格提言」が取りまとめられた。
自治労連は、6月8日の厚生労働省との交渉の中で、「障害者総合支援法は、訴訟上の和解において元原告と国が交わし和解の基本合意文書に沿い、自立支援法を廃止して、あらたな法制度を構築すること」を要請し、厚労省は「総合福祉部会がまとめた骨格提言は、当事者の思いが込められた貴重なもの。法律による対応のみだけでなく、報酬や予算、法の運営等も含め、あらゆる政策手段を含めて段階的・計画的に実施を目指していくものと考えている。今通常国会に出されている障害者総合支援法は、検討に時間を要するものについて、施行後3年を目途に検討することを明記した。」という回答を得ている。
それにもかかわらず、今回可決された障害者総合支援法は、自立支援法という名称を、総合支援法に変えただけで、「障害が重いほど負担が重くなる応益負担」が残り、「介護保険優先の原則の見直し」の約束も果たされていないなど、障害者やその家族の期待を裏切り、当事者の声を全く反映していないものとなっている。これは、国がすべての障害者と原告団にうそをついたに等しい行為であり、断固許すことはできない。
自治労連は、今後政府が行う見直し・検討作業について、障害者自立支援法違憲訴訟団との「基本合意」などの約束事項が守られ、障がい者とその家族、障害福祉現場の自治体職員等の意見が反映されるよう、一層取り組みを強化するものである。