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施行65年目の憲法記念日にあたって

2012年5月3日

施行65年目の憲法記念日にあたって


日本自治体労働組合総連合
書記長 猿橋 均

 憲法を活かし、自治体・公務公共関係労働者の誇りを語る学習と国民的な運動を呼びかける

 日本国憲法施行65年の今年、憲法審査会が始動し「調査」の段階から憲法の明文改憲に向けての重大な局面を迎えている。

 自民党は4月27日、憲法9条2項を削除し軍隊を持つなどとした2005年10月に発表した「新憲法草案」から更に踏み込み、政令での権利制限を可能とする緊急事態条項の新設、保守色を強めた天皇元首化・家族の尊重など、一段と現行憲法を全面否定する「日本国憲法改正草案」を発表し、国会への提出をめざしている。また4月27日には民・自・公・みんなの党などの各党議員でつくる「衆参対等統合一院制国会実現議員連盟」は、2017年から国会を定数500人以内の一院制とする内容の憲法改正原案を国会に初めて提出した。橋下大阪市長率いる「大阪維新の会」も二院制の廃止や道州制の導入など改憲を掲げ、国会進出を狙うとともに、「公務員は市民に命令する立場」と訓示している。これらは9条改定を共通項とするとともに、憲法は国民が国家の行動を縛るという近代憲法の原則である立憲主義を否定し、憲法尊重擁護義務を覆す策動である。

 いま、政治に求められるのは、憲法第13条や25条に基づいた東日本大震災の被災者・被災地本位の復興であり、福島原発事故の収束と被害者への完全賠償である。5月5日、すべて原発がストップすることを機に、原発推進政策から脱却して、自然再生エネルギーへの転換を図ることである。また9条を変え、核抑止力論と日米同盟優先で進める軍事費の聖域化ではなく核兵器廃絶と武力によらない平和のイニシアチブを国際的に発揮することである。消費税増税と社会保障の大改悪、地域主権改革という国の責任放棄ではなく、憲法の定める基本的人権の保障、地方自治の充実など憲法の活きる国づくり、地域づくりである。
 改憲議論の異常は、「政治に民意が反映されていない」(81.9%:内閣府「社会意識に関する世論調査」2012年1月)との意見を抑え込もうとする狙いからである。いま行うべきは、決して改憲議論ではない。憲法が活きる社会をめざす国民的共同の運動は全国で広がっており、憲法9条を変えることに反対する声は依然多数派となっている。

 自治労連は、憲法と地方自治を守り活かす立場から、全国で自治体関係者と懇談を行い、職場では憲法学習を取り組み、住民の皆さんと力を合わせた運動を進めてきた。憲法をめぐって緊迫した情勢のもとで、改めて憲法99条(公務員の憲法擁護尊重義務)と15条(公務員の全体の奉仕者性)を基にした「宣誓書」の原点にたって、憲法を守り活かす運動を大いに進める決意である。首長や上司の命令が憲法に反する場合の自治体労働者が拒否する権利、意見表明権の保障を求めるとともに、また政府の政策が憲法に反し、国民のいのちや暮らしを脅かすものであれば国民とともにそれに対抗することが、現在進められている公務員バッシングなどの攻撃を跳ね返す力になると確信する。

 施行65年目の憲法記念日にあたって、自治労連は、あらためて憲法を学び合い、語り合い、憲法と地方自治をくらしに、職場と地域に活かすことをすべての組合員、自治体職員、自治体関係者に呼びかける。

(以上)

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