4月26日、衆院本会議において、民主、自民、公明などの賛成により、「社会保障・税一体改革」関連11法案の一括審議を行う特別委員会設置、全国の障害者・国民との約束を反故にする「障害者総合支援法」が強行可決された。
この特別委員会設置は、消費税関連法案、子ども子育て新制度関連3法案、年金機能強化法案、マイナンバー法案など、国民生活に極めて重大な影響を及ぼす計11本の重要法案を、一括審議し一挙成立をめざすという乱暴きわまりない手法である。自治労連は、この特別委員会設置強行に強く抗議するとともに、すべての法案について個別に徹底審議をおこない、主権者である国民に法案の内容が広く示される、開かれた国会運営を求めるものである。
そもそも消費税は低所得層に負担が重くのしかかる逆進性の高い税制度であり、国民の6割が消費税増税に反対している。こうしたもとで消費税増税など言語道断である。また本来、所得再配分機能をもつ社会保障にたいして、消費税は相容れないものである。消費税を社会保障財源とすることも決して許されない。断固廃案を求めるものである。年金機能強化法案についても、「特例水準の解消」と称して今後3年間に年金が2.5%削減される中身となっている。
個人情報の国家管理を可能にするマイナンバー法案についても、その危険性も含め国民への説明責任は果たされていない。どの法案一つをとっても、拙速な審議で採決を行うことは絶対に許されない。
子ども子育て新制度関連3法案については、児童福祉法第24条(保育所への入所)を「改正」し、自治体における保育の実施責任を保護者の事自己責任にすり替えることによる、問題点など国民の前に明らかにしないまま、強行採決しようとしている。地域主権改革によって先行実施されている児童一人あたりの面積基準などの緩和等も含め、安全安心な保育の根底を崩す施策が、十分な審議も保証されずに、国会で可決されることはあってはならない。
障害者総合支援法案の強行可決は、政府・国家としての国民への裏切り行為といえる。2010年1月7日、被告である政府は、「障害者自立支援法違憲訴訟」の原告団・弁護団と、「2013年8月までに障害者自立支援法を廃止し、新たな総合福祉制度を実施する」と基本合意文書を交わしている。これに基づき、全国14カ所の地方裁判所で国(政府・民主党)はこの合意を誓約し、和解を取り付けた。それにもかかわらず、政府・民主党は、障害者に対する応益負担、自己責任などの深刻な問題を全く解決することなく、障害者自立支援法の名称を一部変更することをもって、「同法廃止の約束は守った」と詭弁を弄する態度をとった。これは、国家としてのあるまじき行為であり、決して許されるものではない。自治労連は、こうした姿勢を国民と共に糾弾する運動を広め、参議院で徹底審議を求めるとともに、仮に法案が成立してしまった場合においても、今後発出される関連政省令等の監視、制度の具体化にあたって運用面での改善を図る運動を強めるものである。
以上、自公民などの密室談合による国会軽視、国民無視の国会運営、法案の採決強行に対し、抗議するとともに、関連法案の廃案を目指して、全国の仲間と共に奮闘するものである。