3月30日、民主党野田内閣は、消費税増税を含む「社会保障・税一体改革」関連の6法案(消費税増税・国税関連1本・地方税関連1本、国民年金関連1本、子ども子育て新システム関連3本)を閣議決定した。
2009年、「国民の暮らしが第一」「衆院の任期中は消費税を上げない」等と公約して政権の座に着いた民主党は、その後、普天間基地の国外(最低でも県外)移設の不履行、八ツ場ダム建設中止不履行、派遣法の抜本改正不履行、障害者自立支援法の撤廃不履行、東日本大震災の復旧復興の深刻な遅れ、福島原発事故の被害拡大、そして今回の消費税増税法案を含む閣議決定の強行など、国民との約束、国民の期待を次々と裏切り続けた。
「社会保障・税一体改革」は、消費税増税だけで13兆円、社会保障の削減などをあわせると16兆円にも及ぶ負担増を国民に押し付けるものである。特に、全労働人口の3分の1をしめる非正規不安定雇用労働者、年金生活者、消費税を価格に転嫁できない中小企業等にとっては、死活問題である。各紙世論調査の結果を見ても、約6割の国民がこれに反対している。野田政権の支持率は27.4%、民主党の政党支持率は9.2%(時事通信)と既に1割を切っており、民主党政権に対する国民の怒りは日々高まっている。そして消費税増税の問題は、地方財政にも大きな矛盾を押しつけている。地方消費税の増税分の配分方法については、人口を配分基準としており、人口規模による地域間格差がますます広がり、小規模自治体においては、消費税増税による経費負担の増と、地域経済のさらなる衰退だけが押しつけられる結果となる。
閣議決定に至る経過についても、混乱の極みは免れない。野党はおろか、党内調整すらできず、消費税増税を前提とした2012年度予算は参議院で否決され、橋本内閣以来14年ぶりとなる新年度暫定予算を組まざるを得ない事態を生じさせ、閣議決定当日には、与党国民新党の離脱・分裂騒ぎまで引き起こし、民主党野田内閣は、その政権担当能力の欠如を露呈した。
政権交代時に交わした国民との約束破り、重大な政策転換を行うならば、その前に、国民の信を問うのが当然である。実質的に、国民からの信頼を失っている民主党政権が、消費税増税を含む「社会保障・税一体改革」を強行することは絶対に許されない。
社会保障の財源は、証券優遇税制の廃止、新たな法人税減税の中止など、富裕層や大企業を優遇する不公平税制を是正すること、八ツ場(やんば)ダムや東京外環道などの大型開発や、軍事費など、歳出の無駄にメスを入れることによって確保すべきである。
自治労連は、消費税増税を含む「社会保障・税一体改革」関連法案の閣議決定に抗議するとともに、同法案の廃案を目指して、全国の仲間と共に「消費税増税阻止、社会保障の充実」を訴える運動を強化するものである。