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自治労連ジェンダー平等宣言を第45回定期大会で確認しました

自治労連ジェンダー平等宣言

 

 日本は戦後、憲法24条により家庭生活における個人の尊厳と両性の平等が明記されました。しかし、女性への不合理かつ差別的な賃金や労働条件が企業の利益・労働政策のために利用され、長時間労働や家父長的性別役割分担が女性の社会進出を阻んできました。1985年に女性差別撤廃条約に批准し、男女雇用機会均等法も成立しました。しかし、女性差別撤廃条約選択議定書には批准しておらず、現在もジェンダーギャップ指数にみられるように国際的に最低水準です。

 国際的には、女性の政治参加や経済的・社会的差別の解消、ハラスメントやDV対策、選択的夫婦別姓、同性婚、LGBTQなどを尊重する諸制度が大きく前進しています。しかし、日本ではこうした動きを否定し、戦前の家父長制に固執する政党や団体、文化人があらゆる手段を使い、誹謗中傷、圧力や攻撃を加え、後退させようとしています。

 一方、国によるジェンダー差別解消の施策がすすまない中で、国民的な運動が広がり、自治体でパートナーシップ制度をはじめ性の多様性を認める施策が広がっています。ジェンダー平等の実現は、個人の尊重、法の下の平等、両性の本質的平等を保障する日本国憲法をいかすものです。

 地方自治体では、正規職員の削減にともなう非正規職員への置き換えがすすみ、非正規公務員は4割、その約8割が女性であり、低賃金や不安定雇用が押し付けられています。

 自治労連は1995年に「自治体労働者の権利宣言(案)」を決定し「自治体労働者は、性による一切の差別を排除するとともに、真の両性の平等が保障されなければならない」と明記しました。2020年には「組合活動への女性の一層の参加をすすめるアクションプログラム~ジェンダー平等社会の実現をめざして~」を決定し、あらゆるジェンダー差別の解消、ジェンダー差別に起因する不合理な格差を解消し、個人が尊重される社会の実現のための法改正、環境整備などをめざしてきました。

 自治労連は、全体の奉仕者としてジェンダー平等に向けた運動をさらに推進し、女性をはじめ、社会的マイノリティと言われる人々のあらゆる意思決定の場への参加をめざします。同時に住民のいのちやくらし、教育を守る公務公共サービスの拡充や、仕事と家族的責任の両立ができる職場環境、賃金、労働法制、社会保障制度等の実現をめざします。

1.ジェンダー平等を推進し、地域の団体との連携・協力共同で、女性やLGBTQを含む社会的マイノリティに対する経済的・社会的差別を解消し、個人の尊厳や多様性が尊重される自治体をめざします。

2.長時間労働解消や権利の拡充、均等待遇の実現、公務公共体制の拡充など、自治体・公務公共関係職場で働くすべての労働者が働きやすい条件整備をめざします。

3.多様な意見を施策に反映させるため、あらゆる意思決定の場で男女同数の参加をめざし、多様な要求をもとにした方針が決定される組織づくりを本部、地方組織、単組等ですすめます。

4.男女共同参画社会基本法に基づく地域行動計画・推進条例や女性活躍推進法による特定事業主行動計画を点検し、ジェンダー平等推進に向けて実効性ある条例・計画の策定・実施のために行動します。

5.国連女性差別撤廃委員会の勧告にもとづき、女性の社会参加や男女格差の解消、戸籍法や選択的夫婦別姓制度など民法に残されている差別的条項の改正、女性差別撤廃条約選択議定書の批准、当事者合意による慰安婦問題解決などにとりくみます。

6.国際労働機関(ILO)総会の「労働の世界における暴力とハラスメントを禁止する条約と勧告」 等に基づく、国際水準の包括的なハラスメントを禁止する国内法の整備をめざします。

以上、宣言する。

2023年8月29日

自治労連第45回定期大会