【ポイント1】 財政シミュレーションで、「合併する・しない」場合の 「地方交付税の変化」、「合併特例債の負担」の比較検討を |
合併市町村に対する「財政支援」は、①地方交付税の「合併算定替え」、②地方債の特例(合併特例債)、③その他、合併 事務にかかわる補助金や合併直後の臨時的経費に対する財政措置などです。③に関するものは、合併により新たに増大する経費に対する支援で、合併しなければ 基本的に必要ありません。 したがって、「地方交付税がどう変化するか」、「合併特例債で自治体の財政がどうなるか」について、合併する場合、しない場合の財政見通しを比較検討が することが必要です。 そのために、合併の「財政支援」措置のある15年間だけでなく、合併特例債の償還も見通した20年から30年程度の財政シミュレーションが必要です。任 意・法定協議会が検討している財政資料を公開させることや、住民運動として独自に作成することも必要です。 |
【ポイント2】 地方交付税が3~4割も削減される? 誤解や誤りを正確・冷静にとらえよう
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住民への合併説明にあたって、「交付税が3~4割削減されるから合併するしかない」など、誤解や意図的な宣伝が見られ ます。これは、この間の小規模自治体への地方交付税の一定の削減措置や、地方交付税の一部が「臨時財政対策債」に振り替えられ地方交付税額が数字上減少し たこと、さらに、国の財政悪化を背景に、「段階補正」がなくなるのではないかなどの不安感によるものです。 しかし、総務省も「3割~4割削減」は認めていませんし、この間の小規模自治体の地方交付税削減も「厳しいが、やっていけないほどとはいえない」もので す。 また、現在、国が進めている「三位一体の税財政改革」は、「合併しても、しなくても」同様に大きな影響を受けます。改悪させない運動こそ大切です。
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●地方交付税の 「段階補正」とは
地方交付税は、補助金でなく地方自治体の重要な財源で、①自治体の地方税収入の格差をならす「財政調整機能」と、②行政の標準的水準をまかなう財源を国が 保障する「財源保障機能」を兼ね備えています。10万人を標準とし、それより人口の少ない自治体に手厚くするための補正を行うのが「段階補正」です。ま た、人口が10万をこえると、段階的に削減されます。
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●この間の小規模自治体への交付税の削減
小規模自治体に対し、「段階補正」の見直し第1弾として、人口4千人以下の補正系数を一律化しました。また、第2弾として、財政効率のよい上位2/3自 治体の平均を計算の基礎とする見直しで、人口5万人以下の自治体への交付税の削減(H14~H16年度の3ヵ年で、最高で5500万円程度)が行われてき ました。
●「臨時財政対策債」とは
政府は、地方交付税の財源の一部を地方の借金でまかない、後に100%交付税で措置する「臨時財政対策債」(H14年から16年度)を実施しました。こ れによって交付税額が数字上は削減になっていますが、交付税と「臨時財政対策債」を合算すれば使える額は増えています。「臨時財政対策債」の分を隠し、 「交付税の大幅削減」を宣伝することは問題です。
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【ポイント3】 地方交付税は、合併した方が、大幅に「削減」となります |
合併した場合、人口が大きくなるため段階補正がより小さくなり、合併前の自治体の交付税の総計と比べ、新自治体の方が 大幅に減少します。合併による特例とは、10年間は旧自治体が存続しているものとみなし、その総額を保障し、その後5年間で段階的に本来の交付税額に減額 するものです。 つまり、職員等の削減をすぐにはできないので、交付税の激減を緩和するものです。また、国が、交付税を削減した場合は、「合併算定替え」の経過期間中で も、交付税の削減がおこなわれます。一方、新自治体は、「広域化」するので、その分行政経費がかさみます。 |
【ポイント4】 「合併特例債が使える」から有利とい うが? ・・・3割を超える地元負担で、さらなる財政悪化の危険性 |
合併特例債は、合併の「最大のアメ」と言われ、「合併市町村の建設事業」に対し、事業費の95%に起債を認め、その返 済額の70%を国が地方交付税で措置するものです。 したがって、使わなければ合併のうま味がないと、公共事業が行われ、①重点投資となるため、中心部に集中し周辺部との格差を拡大させる、②自治体の借金 返済(地元負担が事業費の5%と公債費の30%)と、建築物の維持管理費の負担増など財政悪化の要因となる、③交付税が大幅削減される15年目から返済額 のピークをむかえるため、深刻な財政問題を抱える危険性があります。こうした点の検討が大事です。 |
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