ここ数年、全国に取り組みが拡大している自治体キャラバンでは、事前に各自治体当局へ臨時職員の時給や労働福祉政策などについてアンケート調査を行い、その結果に基づく懇談が行なわれています。この行動は、民間相場よりも低い時給が改善されるなどの具体的な成果に加え、自治体当局にその公的な責務に対する自覚を促し、かつ地域経済を発展させるなど公契約運動の意義を伝え、運動発展の条件を広げるたいへん効果的な取り組みです。
人件費削減のために民間委託された保育所では契約社員やパートが激増。保育士が次々に入れ替わり、被害は子どもと保護者に。東京・練馬区では、昨年、委託して4ヶ月の間に職員の3分の1が退職し、区が委託先企業に改善勧告を出しました。
指定管理者制度導入で、職員を一旦解雇し、臨時職員など低賃金で再雇用する例が生まれています。職場の中で賃金格差が拡大したために人間関係がギクシャクし仕事がやりづらくなっています。
神奈川では
神奈川労連に公契約単産会議を設置し、共同要求を掲げて運動。その後、県民連絡会(住民運動団体や民主団体、労組など130団体)の県民要求に盛り込むことができました。神奈川県に交渉窓口を作らせ、最低制限価格制度導入を中心課題に交渉を進めてきました。「業務に支障なし」という県に対し、交渉で引き続く課題とさせています。
06春闘では、自治労連の「モデル条例案」を神奈川労連案として確認。要求書と条例案を送付して全自治体と懇談し、賃金実態調査の実施を強く求めました。また経営者団体等とも、競争ルールづくりで共通理解が広がっています。
広島では
指定管理者制度とのたたかいは、公契約運動そのものだと実感しています。雇用をつなぐ、公務公共サービスを守る、組織強化、の3点を重視しました。決定的だったのは、利用者・住民との共同、自治体との交渉権の確立と攻勢的な住民宣伝・組織強化の運動に広島市職労と外郭組合が一緒になって取り組んだこと。自治体の担当課と交渉し、雇用を守ることができました。
また、民間並みが基本という理由で賃金・労働条件を下げさせないために、組合の意見も一部反映させ、指定管理者候補の評価基準を厳選し、公務公共サービスを守るという規範を持たせることができました。
世田谷では
数年来、年金改悪、イラク戦争や自衛隊派兵反対などで共同行動を積み重ね、特に「九条の会」の呼びかけに応える「生かそう憲法の会」は、所属するナショナルセンターや平和運動団体の違いを超えた共同を広げ、区内5労組(区労連、地区労、地区連合、東京土建、区職労)懇談会も開催してきました。
この成果の上に、「公契約運動懇談会」を発足させ、今年2月のシンポジウム開催を準備するなど、建設・介護・福祉等を束ねた公務・公共サービス底上げの取り組みとして共同を広げています。
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