近年、厳しい財政状況を背景に、国や自治体から民間事業者への公共工事や委託事業等における低価格・低単価の契約・発注が増大し、それにともなう受注先企業の経営悪化、労働者の賃金・労働条件の著しい低下がすすんでいます。こうした中、契約・発注の在り方を問い直し、安定した企業経営と雇用のもとに労働者の賃金・労働条件の改善をすすめることで、工事やサービスの「質」の確保、さらには地域の賃金水準の引き上げ、地域経済の活性化をすすめる「公契約運動」の前進が強く求められています。
何よりも、住民生活を豊かにするための事業が、「その収入だけでは生活できない」低賃金労働者を作り出し、「格差」拡大を助長している現状の打開こそが急がれなければなりません。
「公契約法・条例」とは、国や自治体が行う公共工事や委託事業について民間業者と契約を結ぶ際に、事業に従事する労働者の賃金・労働条件を適正に定め、確実に末端の労働者にまで確保することを義務づける制度のことです。
公共工事や委託事業に関わる労働者は全国で1000万人以上にのぼります。国と自治体が率先して、これらの労働者に「働くルール」を確立すれば、日本の労働者全体の改善に大きな波及効果を与えます。公共事業を住民生活密着型に転換し、地域の中小業者に優先して仕事が回る仕組みをつくれば、地域経済の再生、自治体の税収増にもつながります。
今、自治体が発注する委託や、公共工事(公契約)のあり方が問われています
Q なぜ公契約運動を取り組むのですか?
A 自治体が格差社会をつくりだしてはいけない
ふじみ野市のプール事故にみられるように、安上がりな委託の先に大きな問題が発生しています。公共工事でも、委託業務でも、安定して生活できる賃金・労働条件の保障があってこそ、仕事に打ち込むことができるのです。
Q 公契約運動を取り組む意義は何ですか?
A 委託業務や公共工事の質を守るために
自治体財政の悪化を背景に、臨時職員への置き換えや業務の民間化がすすめられています。「安ければよい」という風潮の中で、そこで働く労働者に「それだけでは生活できない」低賃金が押し付けられています。
Q 市民生活へのメリットはありますか?
A 公正な競争を促進、地域経済を活性化する
適正価格による支出はムダ使いにはなりません。地元中小業者の経営を安定させ、労働者への分配を増やすことは、消費購買力を高めるほか、税収の増加というかたちで自治体に還元されていくことになります。
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